国産LLMが抱える“開発コスト”の課題 海外勢に安さで勝てるか、ELYZA代表の危機感(1/2 ページ)
東大発のAIスタートアップ企業ELYZA(東京都文京区)は3月12日、「GPT-3.5やGeminiに匹敵する」という日本語特化型の大規模言語モデル(LLM)を発表した。同社の曾根岡侑也代表は「今回のニュースは日本国内の状況を踏まえると本当に喜ばしいこと」と語った。一方、国内でのLLM開発ビジネスにおいて“資金面”が大きな課題になっているともこぼした。
今回発表したLLM「ELYZA-japanese-Llama-2-70b」は700億パラメータを持ち、日本語処理能力で米OpenAI製のGPT-4や、米Google製のGemini 1.0に匹敵する処理能力を有すると同社は強調する。曾根岡代表は「グローバルなプレイヤーが日本語処理の性能でリードしている中で、何か一矢報いよう(として到達した)」と話す。
新モデルの対話形式のデモンストレーションサイトを公開しており、誰でも試すことができる。また、企業向けのAPIを提供もあわせて発表。一方、これまでELYZAはLLMをオープンソースで公開していたが、今回開発したモデルについてはクローズドソースとなっている。
LLMの運用コストに課題 OpenAIなどのビッグテックにどう立ち向かう?
ELYZAは、同社が開発するLLMの法人向けサービスの料金体系を公表していない。具体的な利用料は、個社の交渉によって決める形という。
曾根岡代表は「料金体系については、まだ固まっていないというのが正直なところ。実用レベルで使っていただいたときに、計算しながらどのくらいの資源、費用が必要なのか、どこまで安定稼働、SLA99.9%のようなサービス品質を保証できるか、安定稼働のためにどのくらいのサーバが必要なのか、工夫によってどのくらい提言できるのか、まだ読めていないため、金額として提示できない」と事情を説明する。
「当初はそういった不安定な稼働も踏まえて応援してくださる企業とともに、提供しながらコストに対して見合うプライシングを考えていきたい」(曾根岡代表)
ELYZAがこのような形でサービスを提供するのは、LLMを基盤としたサービスの運用コストに中長期的な課題があるためだ。国内サーバで日本ユーザーを対象として運営するという構造上、OpenAIやGoogleのようなグローバル企業に価格競争力では不利な立場になる。曾根岡代表はサービス運営上の課題として、ビッグテックに対抗するためには資金面の支援が重要だと訴える。
「資金面の課題は非常に重要と考えている。アライアンスや資金調達といった話も考えなければいけない。ただし、それ以上に国に対するロビイングも重要と思っている。OpenAIやAnthropicには、後ろ盾にMicrosoftやAWSがいる。彼らは豊富な資金力を武器に、ぎりぎりのラインの価格設定で提供してくる。資金力の無いわれわれが長期でAPIを提供すると、おそらくプライシングで勝てなくなる可能性は十分にある」(曾根岡代表)
現状についても「今はモデル構築で国に計算資源を支援してもらっているが、今後は運用面でも支援を獲得できないと、おそらくこの先3年、5年で、われわれのようなプレイヤーは資金が尽きて消え去ってしまう。そして、グローバルモデルだけが生き残って使われるという世界が来てしまう」と危機感を示した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia AI+に関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
よく見られているカテゴリー
アクセスランキング
-
1
日立、Anthropicと提携 グループ29万人に「Claude」などAI導入 社会インフラ分野にも展開へ
-
2
生成AIで3Dモデルを自動作成 専門スキル不要でテキストや画像から3D化
-
3
伊藤忠商事や三菱ケミカルなど16社が参画 大手企業の「暗黙知」を活用する新プロジェクト
-
4
「家庭教師のトライ」が学力診断にAI活用 20問解くだけで弱点を推定 生徒と講師の負担減らす
-
5
「最新のAI創薬ラボ」なのに会議室みたい!? 製薬大手がラブコール送る“異色のAI企業”による新拠点とは
-
6
「AIデータセンターの電力需要が急増」はホント? 発電大手Jパワー社長が明かした“報道との温度差”
-
7
みずほFGが実現 2週間かかるAIエージェント開発を最短数日にする仕組みとは?
-
8
「さすがに似すぎ」?──“LOVOTそっくり”と話題のSwitchbot新作ペットロボ、日本でも発売へ GROOVE Xの反応は
-
9
OpenAI、「ChatGPT」に個人向け資産管理機能 金融口座と連携
-
10
“人型ロボ完全国産化”目指すベンチャーから身長約130cmの小型モデル 中国機ベースも、近く国産化ロードマップ発表
SpecialPR
ITmedia AI+ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmedia AI+をフォロー
あなたにおすすめの記事PR