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「GPT-4超え」とうわさのAI「Claude 3」を試す 仕事は任せられる? 若手記者の所感(1/2 ページ)

» 2024年03月08日 10時00分 公開
[吉川大貴ITmedia]

 3月4日(現地時間)にリリースされたチャットAI「Claude 3」がすごい。筆者も記事の執筆を任せられないか少し試しているが、使い方によっては「そこそこいけるな……少なくともGPT-4よりはイケる」と思う程度にはしっかりしている。

 過去に記事でも伝えた通り、ITmedia NEWSではChatGPTを活用した記事の制作も行っている。筆者もたまにGPT-4の力を借りて記事を作っているが、ものすごく効率化につながるかと言われれば、正直そこまでではない。

 10の労力が9とか8.5くらいにはなるし、それはそれですごく大事なのだが、劇的な省力化にはつながらない。さらにプロンプトを考える手間もある。その辺を加味してギリギリ黒字くらいだ。特にここ半年くらいは以前より微妙なアウトプットしか出なくなった実感があり「AIに記事を書いてもらう時代はまだ先だなー」なんて思っていた。

 一方でClaude 3は、結構雑なプロンプトでも「もしかしたら10の労力が7とか6くらいにはなるかも」というアウトプットが出てくる。その性能はSNSでも注目を浴びており「ようやく本物の“GPT-4超え”が出てきた」と話題だ。せっかくなので、記者歴7年の筆者から見た、Claude 3の文章力についてちょっと語ってみる。

そもそもClaude 3とは何だ

 Claude 3は米AmazonやGoogle、Zoomなどが出資するAIベンチャーの米Anthropicが4日にリリースしたモデルだ。「Opus」「Sonnet」「Haiku」の3サイズ(Opusが最大)が存在し、このうちHaiku以外のモデルをWebサイトかAPIで利用できる。2023年8月までのデータでトレーニングしており、日本語での会話も可能。画像やPDFも読み込ませられる。

 で、そんなClaude 3の文章力だが……これは実物を見てもらった方がいいだろう。まず、以下の記事は人間が書いた文章だ。話題は、アイティメディアと子会社の発注ナビが立ち上げた新サービス「ITセレクト」について。

 で、同じ内容をClaude 3 Opusに書いてもらうとこんな感じ。発表文と画像を入力し「画像と文章を基に、ITmedia NEWS風に記事を書いてください」とだけお願いした。

 まず筆者の感想を述べると「そこそこ使えるじゃん」という所感だ。微調整が必要な箇所はあるし、背景となる知識が足りていなかったり、逆に余計な情報が多かったりはする。ITmedia NEWSのトンマナに合っていない箇所もちらほらある(おそらくは一般的な報道記事の文章も学んでいるためだろう)。とはいえ、“バリ取り”をすれば土台にはなるレベルだ、と思った。

 GPT-3.5やGPT-4に比べて、こちらが与えた情報をもとに背景を読み取る努力が見られるのもいい。筆者の体感にはなるが(プロンプトの工夫がない場合)生成AIの書く文章は“点と点をつなぐ能力”を欠いており、ただ言い方を変えて要約することしかできなかった。それはそれで役に立つのだが、書き手としてはやはり、何らかの付加価値は加えたい。その意図を雑なプロンプトでも汲んでくれるのはありがたい。

 それを感じたのが「これにより、営業電話の多発といった課題を解消し、利用者が気軽に製品選びや資料請求を行える環境を整えた。」の部分。「一般的な〜」から始まる文章をまとめた一文だが、今までのAIにはこれができなかった。

 例えばGPT-4に同じことをさせるとこんな感じ。「〜だ、〜である」調ですらなく、いかんせんポンコツだ。これも土台に使えないことはないが、Claude 3とどっちか選べと言われれば……まぁ、Claudeだろう。出力のスピードはChatGPT(GPT-4)の方がいくらか早かったが、クオリティーを覆すほどではない。

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