小林啓倫のエマージング・テクノロジー論考
スマホの次は“身に着けるAI”の時代到来か 「ウェアラブルAI」続々登場 企業はどう向き合う?(4/4 ページ)
企業はウェアラブルAIとどう向き合う?
ウェアラブルデバイスが収集する膨大な量のデータを、AIが全て解析可能にする――それはメリットであると同時にデメリットであり、企業内でウェアラブルAIを導入した場合も、さまざまな形で(従業員の行動監視につながったり、その行動が誤って把握されて不当解雇につながったりするなど)現れることになるだろう。
だからといって、ウェアラブルAIを無視したり、社内での利用を禁止したりするだけでは不十分だ。最近では、ChatGPTのような一般向けの生成AIの社内利用を禁じていても、従業員がそれを(私用スマホからアクセスするなどして)勝手に使ってしまうことが問題になっている。従業員にしてみれば、それを使って自分の作業効率を上げた方が、ルールに違反したとして怒られるリスクよりもよっぽど魅力的だからだ。
そこで従業員が自前で用意したAIアプリケーションやサービスを、一定の制限のもとに社内で使用することを許可する「BYOAI」(Bring-Your-Own-AI)」という概念も登場している。同じように、一定のルールを守らせた上で、自分のウェアラブルAIの利用を許可する「BYOWA(Bring-Your-Own-Wearable-AI)」を進める企業も出てくるかもしれない。
(関連記事:企業「ChatGPTは使っちゃダメ」→じゃあ自分のスマホで使おう──時代はBYODから「BYOAI」へ)
その際に必要になるのは、企業内で使用しても問題のないウェアラブルAIの選定だ。例えば前述のLimitless Pendantのような製品は、勝手に社内に持ち込まれたら、従業員のあらゆる会話が外部に筒抜けになってしまう恐れがある。
そこでLimitless AIでは「同意モード」と呼ばれる機能を設けており、記録に同意した人物の音声のみが記録されるようになっている。またLimitlessはセキュリティ対策を十分に行ったクラウド環境を用意しており、データは暗号化され、許可なしに復号されることはないとしている。
もちろんこれらの対策が十分かどうかについては、これから十分な検証が必要だが、安全面について問題のない製品を選定し、許可していく姿勢が求められる。
こうした懸念はありつつも、やはりビジネスで利用可能になってこそ、ウェアラブルAIの真価が発揮されるといえるだろう。既にさまざまな生成AIアプリケーションが、多くの分野でビジネスパーソンをサポートするようになっているが、今後はそれが眼鏡やペンダントの姿を取って、より密着した支援を行うようになるかもしれない。
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小林啓倫のエマージング・テクノロジー論考
生成AIやメタバース、新たなサイバー攻撃など、テクノロジーの進化が止まらない。少しずつ生活の中に浸透し、その恩恵を預かれることもある一方、思いもよらない問題を生み出すこともある。このコーナーでは、さまざまな分野の新興技術「エマージング・テクノロジー」について、小林啓倫氏が解説する。
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