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Humane、“ポストスマートフォン”のAIガジェット「Ai Pin」を699ドルで発売へ

» 2023年11月10日 07時06分 公開
[ITmedia]

 元Appleの2人のエンジニアが立ち上げた米新興企業Humaneは11月9日(現地時間)、AIを活用するためのウェアラブルデバイス「Ai Pin」を発表した。米国では11月16日から注文を受け付ける。デバイスの価格は699ドル(約10万円)で、ネット接続などのためのサブスクリプションの価格は月額24ドル。

 ai pin 1

 Ai Pin本体とマグネットで合体するバッテリーブースターで構成されており、サイズは47.50×44.50×(14.98+8.25)mm、重さは34.2+20.5g。本体とブースターで衣服を挟むことで胸元などに装着できる。

 ai pin 2 装着例
 ai pin 32 装着例2

 米Qualcommの8コアのSnapdragon、4GBのメモリ、32GBのeMMCを搭載し、ネットワークはWi-Fi、Bluetooth、米国では米T-Mobileによる専用の「Humane Wireless Service」を利用できる。

 音声、カメラ、ジェスチャー、内蔵プロジェクターを組み合わせたシステムで、AIを活用できるようになっている。利用するAIモデルについてはプレスリリースでは触れられていないが、米Microsoftと米OpneAIがHumaneの戦略的テクノロジーパートナーとなっており、利用できるのはGPT-4とみられる。

 「Cosmos」という独自OSと「AI Mic」と呼ぶ独自アプリを通じてAIモデルに接続する。

 スマートフォンのようなディスプレイの代わりにプロジェクターからのレーザーを手のひらに当てることで情報を表示する。20〜40cm離した手のひらに、解像度720pの画像を表示する。例えば音楽再生中は手のひらに表示したコントロールパネルを指の動きで操作できる。

 ai pin 3 手のひらで音楽再生をコントロール

 音楽再生では、AIに聴きたい音楽を漠然とリクエストすることも可能。スピーカーからだけでなく、Bluetoothイヤフォンで聴くこともできる。

 X(旧Twitter)にポストされた動画(記事末に転載)では、Ai Pinで自動翻訳機能を介した英語とスペイン語での通話や対面での同時通訳、手のひらに載せたアーモンドをカメラに映しながら「どのくらいのプロテインが含まれる?」と尋ねて「これらのアーモンドには15gのプロテインが含まれます」と答えさせるデモなどを見ることができる。

 搭載カメラは1300万画素で、ダブルタップすることで写真撮影も可能だ。将来的には動画撮影もサポートする計画。

 稼働中は正面上部にある「Trust Light」が点灯し、稼働していることを周囲に知らせるようになっている。

 Humaneの共同創設者、イムラン・チャウドリ氏とベサニー・ボンジョルノ氏の夫妻は、AppleでiPhone関連のエンジニアを務めた後、2016年に退社し、Humaneを立ち上げた。HumaneにはMicrosoftとOpenAIのサム・アルトマンCEOの他、SK Networks、LG Technology Ventures、Qualcomm Ventures、Valia Venturesなども出資している。

 チャウドリ氏とボンジョルノ氏はプレスリリースで「Ai Pinは、AIを日常生活に統合し、人間性を損なうことなく能力を強化するという私たちのビジョンを具体化したものだ。(中略)われわれにとって、Ai Pinは始まりにすぎない」と語った。


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