小林啓倫のエマージング・テクノロジー論考
これがWeb 4.0? Microsoftが提唱する「Open Agentic Web」を解説 今までのWebサイトは“司書のいない図書館”(2/4 ページ)
これまでのWebでは、人間のユーザーが自らWebを検索し、サイトを訪れ、得たい情報を探すしかなかった。しかしAgentic Webでは、ユーザーが何か質問をすると、AIアシスタントが答えをくれる。またエージェントにタスクを割り当てて実行させたり、エージェントと協力して仕事やプロジェクトを完了させたりすることができるようになるという。
つまりAIエージェントがユーザーや企業、組織の代理として意思決定を行い、タスクを実行するという、新しいインターネットの形態が生まれつつあるというわけだ。またMicrosoftのケビン・スコットCTOも、キーノートにおいてOpen Agentic Webの補足説明をしている。
彼はOpen Agentic Webについて、それがMicrosoftだけでなく、過去数年間にわたり他の企業と共同で取り組んできたコンポーネントやプロトコル、サービスによって形成されるものであり、オープンな形で起きていることが重要だと述べている。この概念が単なる「エージェント型Web」ではなく、「オープンな」エージェント型Webと呼ばれているのは、それが理由だ。
彼は「私たちはAgentic Web上で皆さんの想像力の総和が働くことで、Agentic Webが根本的により興味深いものになると考えている」とし「一つの組織が単独で全てを行おうとした場合よりも、はるかに面白いものになるだろう」と予測。
さらに「シンプルなコンポーネントとシンプルなプロトコルが互いに組み合わせ可能な形で存在し、参加したいと思う世界中の全ての開発者や、アイデアを持つ人々の完全な精査と創造性にさらされたとき、世界では信じられないほどのことが起きる」と述べている。
彼らの言葉を裏打ちするかのように、Microsoftは今回のBuildの中で、MCPやA2Aといったオープンなプロトコルを支持・支援する姿勢を表明。さらにAgentic Webを実現するためのさまざまな関連技術や製品の発表も行っている。その一例として、今回のBuildで打ち出され、注目されているもう一つの概念「NLWeb」についても簡単に触れておこう。
「NLWeb」とは何か?
NLWebは「Natural Language Web」(自然言語Web)の略であり、今回のBuild 2025で正式発表したプロジェクトだ。このプロジェクトは、MicrosoftのCVP兼テクニカルフェローであるR.V.グハ氏が中心となって進めている。グハ氏はRSSやRDFなどの開発者で、Schema.orgの創設者でもあり、それがNLWebに注目が集まる理由の一つにもなっている。
簡単に言ってしまうと、NLWebは、Webサイトに「自然言語による対話型インタフェース」を容易に実装できるようにすることを目的としたオープンソースプロジェクトだ。
NLWebが開発した仕組みにより、Webサイト運営者は自らのサイト上で、訪問者たちが自然な言葉で質問し、AIがそれに応答するようなインタラクティブな体験を提供できるようになるという。つまりOpen Agentic Webという概念を実現するための、具体的な手段の一つというわけだ。
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小林啓倫のエマージング・テクノロジー論考
生成AIやメタバース、新たなサイバー攻撃など、テクノロジーの進化が止まらない。少しずつ生活の中に浸透し、その恩恵を預かれることもある一方、思いもよらない問題を生み出すこともある。このコーナーでは、さまざまな分野の新興技術「エマージング・テクノロジー」について、小林啓倫氏が解説する。
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