「動画広告を流せる清掃・警備ロボット」も “導入・運用をラクに”の工夫が進むロボットたち
大塚商会が2月5日から7日まで、東京都港区で開催したIT展示イベント「実践ソリューションフェア2025 東京」。建設・介護・小売といった業界向けITソリューションが並ぶ中、多くの来場者の視線を集めたのはロボット展示ゾーンだ。
ブースには「動画広告を流せる清掃・警備ロボット」などが勢ぞろい。今回のフェアでは、ロボットの提供に当たって導入・運用のハードルを下げる“売り方”の工夫も垣間見えた。
コスト回収のカギは「広告収入」――清掃と警備を兼ねるロボット
ショッピングモールやオフィスビルでの導入が進む清掃ロボット「Toritoss」(トリトス)。オムロン ソーシアルソリューションズ(東京都港区)が発売した同社初の清掃用ロボットだ。清掃業務に加えて、広告表示と巡回警備も行う。すでにマルイグループが店舗で導入しており、水を使わない除塵清掃タイプのため、営業時間中でも安全に稼働できる点が評価されているという。
広告の用途は多岐にわたる。ショッピングモールのテナント広告、求人広告、近隣飲食店の広告などが一般的。子供向けのイベントとして、ロボットに文字を表示して店内を巡回させ、文字探しラリーを実施するケースもあった。広告収入が月額利用料を上回り、収益を生み出すケースも出てきているという。
「月額26万9000円のサブスクプランで、ロボットのディスプレイを広告媒体として活用することで、運用コストをゼロ円に抑えている施設オーナーも出てきています」(オムロン ソーシアルソリューションズ)
軽量物搬送に特化「カチャカプロ」
発売から1年未満ながら、経済産業省などのロボット表彰事業「ロボット大賞」で賞を取ったPreferred Robotics製搬送ロボット「カチャカ」。その法人向けモデル「カチャカプロ」は、人が手で持てる程度の軽量物に特化した製品だ。メーカー希望価格を100万円前後に設定している他、中小企業省力化投資補助金の対象製品にも認定されているため、補助金利用により半額での導入が可能な点も特徴という。
「従来のロボットは重くて大きいものを運ぶ目的が多かったのですが、この製品は人が運べるものを人の代わりに運ぶという発想で設計されています」(Preferred Robotics)
工場での採用が最も多く、自動車や電子部品の工場で部品搬送や検査工程での運搬に活用。食品工場以外の幅広い業種で導入が進んでいる。ヘアサロンでの理髪用品の運搬や病院での医療用品の搬送など、導入事例は業種を問わず広がっているという。
初期設定はスマートフォンアプリで行い、手動操作で走行エリアの地図を作成した後、目的地を指定する仕組み。5月からは大規模言語モデルを利用した自然な会話による操作機能も追加される。
AI搭載の案内ロボット「temi」、西鉄で本格稼働
案内ロボットも進化を続けている。福岡の西日本鉄道では、AI搭載の自律走行型アシスタントロボット「temi」(テミ)が西鉄福岡(天神)駅で本格稼働。外国人観光客から「どこで降りればいいか分からない」といった質問を4カ国語(日本語・英語・中国語・韓国語)で受け付け、路線情報を案内している。
16個のセンサーを搭載し、人や障害物を自動回避しながら移動できるのが特徴だ。価格は基本モデルで80~100万円程度、生成AI連携などのオプションを追加すると200万円弱となる。西鉄の導入事例では、55日間の実証実験で656件の案内に対応し、窓口業務の約10%を削減できたという。
販売を手掛ける大塚商会は現在、2025年夏ごろの実用化を目指してエレベーターとの連携機能の開発を進めている。ただし、これはエレベーターメーカーだけでなく、自動ドアやICカードシステムのメーカーとも連携が必要な課題だ。
「エレベーター連携ができれば、受付でICカードを発行して、そのままエレベーターに乗って上のフロアまでユーザーを案内することが可能になります」(大塚商会)
“導入障壁”を下げる工夫進む
オムロンのToritossは清掃と広告を組み合わせることで運用コストを相殺し、Preferred Roboticsのカチャカプロは補助金対象認定により初期投資を抑制。temiは外部連携機能の開発など、それぞれに特徴的な価値提案が見られた。
ロボットといえば最先端のソリューションとして、業務効率化の効果が取り沙汰されがちだ。一方で、普及が進みつつある現在では、省人化だけでなく“導入しやすさ”の競争も進んでいるのかもしれない。
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