また、立候補者の情報は、インターネット上以外にも存在します。SNSや動画投稿サイトの情報だけを判断材料としては偏ってしまいます。インターネット以外の情報も合わせてチェックすべきです。
ファクトチェック以前の問題として、特定の思想に合わせたり、大げさな表現を用いたり、問題を引き起こす仮想敵を作り上げたり、感情的かつ都合の良い意見に誘導する候補者の言葉には注意が必要です。冒頭に紹介した反デジタルのAI絶許党であれば、「生成AIは人類の敵!」は生成AIに反発する人に合わせて大げさな表現で言い切っています。
「データセンター建設で気温が50℃になる」という主張も、酷暑の時期における直近の話題性を利用しており、「セルフレジ禁止! 人間の仕事を奪うな」など、「昭和のころは良かった」というノスタルジーに訴えています。ファクトチェックという事実確認だけでなく、このような感情を動かして意見を誘導させる手法にも注意しましょう。
選挙に限らずSNSや動画投稿サイトでは、根拠がなく都合の良い主張が展開されています。こうして第三者を都合の良い主義主張に誘導することで、自分の利益にすることは簡単なことです。
例としてSNSや動画投稿サイトで、インバウンドの外国人の迷惑行為や電動キックボードの事故について紹介すれば、再生数を稼いで収益化できます。SNSや動画投稿サイトは話題性から注目を集める閲覧数を増やすことが最優先となっており、法規制やルール整備が追い付きません。スマホやPCの四角い画面で繰り広げられる情報発信は、もはや野生のジャングルと化しています。
いわば「四角いジャングル」であり、情報の真偽を判断できなければ、誰かにだまされて利用されてしまいます。自分自身でファクトチェックを行い、意思決定ができる情報に対する目利きを身に着けなければ生き残れません。
冒頭に紹介した現実離れした政党や立候補者が当選するのが、将来のためでしょうか。選挙は自分の支持する立候補者を当選させることも大事ですが、怪しい候補者を落とすことも必要です。選挙におけるファクトチェックを通して、情報の真偽を身につける習慣を身に着けたいですね。
朝日新聞、「ファクトチェック編集部」発足 SNS上の言説も検証→無料記事を公開
買収された会社社長がアクセンチュアをディスった? ゆめみ“怪文書”騒動
Xで災害情報を拡散した人の半数は「偽情報を見分ける自信がある」が、その半分は「ファクトチェックの意味知らない」
「三国志」に学ぶ生成AIの導入推進 「推進派」「反対派」「無関心派」の勢力争い、その攻略法は?
AIスタートアップ・オルツの不正疑惑 予兆の「フラグ」はあったのか? “数字”から検証Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.