AIのヘビーユーザーほど残業時間が長い――パーソルホールディングス傘下のパーソル総合研究所(東京都江東区)は2月、生成AIと正規雇用者の働き方に関する実態について、このような調査結果を発表した。業務効率化のためにAIを導入する企業も多いなか、なぜ一見矛盾した結果になったのか。26日に実施した記者向け勉強会で、労働を専門とする同社の田村元樹研究員が解説した。
まず、調査結果の要点を整理する。非正規雇用者を含む全国の就業者のうち、生成AIを業務で利用する割合は32.4%だった。AIを週4日以上使っている「ヘビーユーザー」は11.7%、週1〜3日使っている「ミドルユーザー」は12.4%、月数日以下しか使わない「ライトユーザー」は8.4%だった。
週平均の残業時間を見ると、ヘビーユーザーが8.34時間、ミドルユーザーが7.79時間、ライトユーザーが5.08時間、AIの非利用者が4.99時間だった。業種や職種を問わず、同様の傾向という。
この結果について、田村氏は、もともと残業時間が長い層でAIの利用頻度が高い可能性があると指摘する。一方、生成AIに関する「学習と教育の負担」が影響しているとも分析する。AIのヘビーユーザーほど、過去1年間でAIに関する学習時間や人に教える頻度が増加しており、周囲の支援に負担を感じる人も多かったという。
「AIは進化が速く、新しいサービスも続々と登場する。ヘビーユーザーの学習時間や人に教える頻度が増えており、特定の層に負担が集中している可能性がある」(田村氏)
生成AIで業務時間を削減できた人のうち、61.2%が浮いた時間で「仕事をする」ことも判明した。複数回答で仕事の内容も聞いたところ、日常的な業務をする割合が75.4%と最も高かった。一方、業務の改良や再設計をする人は40.9%、新たなアイデアなどを試す人は36.3%にとどまった。
「AIが代替できない別の業務をしたり、業務の改善点を考察したりするなど、付加価値のある業務をしている人は少ない。AI活用で削減できた時間を定型的なタスクで消費している」(田村氏)
なお田村氏によれば、AI活用に伴う残業時間の増加は、生産性の向上につながっているとも言い切れないという。「生産性のポイントをどこに置くかにもよるが、長時間労働で売り上げに貢献したとしても、そのぶん人件費が掛かっている。生産性に関してはさらなる検証が必要だ」(田村氏)
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