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コラム
» 2004年01月23日 10時54分 公開

ハイディフィニションについて考える (1/2)

2004年は、一般ユーザー向けの液晶ディスプレイが、ついに“ある意味で”CRTを質的に超える年となりそうだ……と思っていたところに突然登場した「大型・低解像度液晶付属PC」。これはいったいどういう意味を持つものなのだろうか?

[橋本新義,ITmedia]

 正直、ひどい衝撃だった。ニュースリリースを見たときには、本当に口を開いて「ポカーン」としてしまったほどである。良い意味でも悪い意味でも、PCのヘビーユーザーからは出てこない発想だろう。

 この「ポカーン」というのは、筆者がNECの23インチワイド液晶富士通の22インチワイド液晶といった、20インチ超級の液晶ディスプレイ(というより、チューナーなしの液晶テレビというほうが正確だろうか)を搭載したPCを見たときの感想である。

 なぜ驚いたのかというと、これらの機種に搭載された液晶パネルは、20インチを超える大型液晶でありながら、ワイドXGAというとんでもない“大画素デバイス”(低解像度デバイスと言い換えてもいいかもしれない)であるからだ。

 液晶パネル(というよりPC用ディスプレイ)の解像度を考える時、2004年は重要なひとつの転機になる、と考えていた筆者にとって、これはまさに予想外の展開だったのである。

液晶が“性能面でCRTと世代交代を起こす”2004年

 筆者がここで言う転機とは、ヘビーユーザー向けの主力液晶ディスプレイの解像度がUXGA解像度(1600×1200ピクセル)に達する――言い換えれば、UXGA解像度の液晶ディスプレイが10万円を割る――ことを意味する。

 昨年11月にデルが発表した20.1インチ液晶ディスプレイ「UltraSharp 2001FP HAS」は、11万5000円で登場した。今年はいくつかのメーカーが対抗機種の準備や、価格引き下げを計画していると言われる。従来の17インチや19インチのパターンが踏襲されるのであれば、今年後半ごろには10万円割れも十分あり得る話だろう。

 では、なぜこれが転機になるのかといえば、それは、UXGA解像度のディスプレイをこの価格で安定して供給するには、液晶でなければかえって難しくなってくるからだ。

 これまでは大画面液晶の方が高価だったため、正面だっては言及されてこなかったが、現在のレベルで製造された液晶パネルは、UXGA解像度以上になると、製品レベルのコストは、CRTより原理的に勝るのである。

 CRTでUXGA解像度を常用する(ここが重要な点だ)には、並ならぬフォーカス精度を長期間維持する必要がある。実際にUXGA以上の解像度の常用を想定したディスプレイは、20インチ以上の大きさと「プロ用」の看板が付き、一気に価格が上がる。

 こうした製品が15〜20万円クラスであるのを考えると、UXGA常用ディスプレイとしては、液晶の方がはるかに安価、ということになる。

 乱暴な言い方をすれば、従来の液晶ディスプレイとCRTディスプレイを比べた場合、液晶には「軽い・薄い」以外のメリットはほぼ皆無だった。総合的な画質では、液晶側の改良は進んでいるものの、まだ追いついていないのが本当のところ。応答速度なども、まだ大きく不利だ。

 しかしここへきて、ようやく“コスト対(常用)解像度”という、CRTを質的に上回るメリットが出てきたのである。

 つまり2004年は、液晶が「性能は劣るがフォームファクターで勝っていた時代」から、初めて純粋にディスプレイとしての質、つまり実力でCRTを蹴落とせるようになる時代への転換点となるタイミングなのである。

PC力学“高解像度化の絶対的肯定”の進む道が変わる?

 こうした理由から、「液晶が解像度という武器を持って、真の主役となる時代がはじまるぞ」と思っていた筆者にとって、2004年早々、そうしたメリットをまったく考えないかのような製品が現れた。それが冒頭の「ポカーン」状態をもたらしたというわけである。

 これらのPCに付属するディスプレイは、PCの付属品でありながら、従来の高級PC向けディスプレイとして求められる「解像度」をばっさりと切り捨て、テレビとしての品質のみを追求している(あまつさえ、リアルHDTV解像度ではない)。

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