Sony Computer Entertainment America(SCEA)は3月25日、Game Developer Conference 2004(GDC)にてPSPの技術基本情報を開示するセッション「Programming the PSP」を開講した。このセッション内で、より詳しいPSPの仕様が明らかとなったのである。
すでに、ITmediaのニュースなどでも簡単に紹介されているし、基本スペックについては去年行われたE3のSCEのプレスカンファレンスにて公開された情報を参照してもらうとして、今回は、新たに分かったPSPの仕様について見ていくことにしよう。
SCEAは、PSPが単独のゲーム機としてではなく、ほかの機器との接続性を重視したものになるという。セッションで具体的な活用例は示されなかったが、ほかのプレイヤーのPSPと相互に接続した対戦ゲームプレイや、PS2と接続してPS2のゲームデータを持ち出す、あるいは(著作権をセキュアにした上で)PCとコンテンツデータをやりとりする……などが可能になると思われる。
こうしたほかの機器との接続インタフェースとして採用されるのがUSB 2.0。そのため、PSPにはUSBポートが実装されることになる。また、PSPに接続できる周辺機器としては、今のところデジタルカメラやGPSユニットなどのアイデアが出されている。
しかし、ひとつだけ注意すべきことがある。
USBはデバイスがマスター(ホスト)とスレーブの関係を持つ必要がある。多くのUSB機器はUSBスレーブ機器であるので、PCがUSBのホストデバイスになって、接続時にマスタースレーブの関係が確立する。
ところが、PSP自身はスレーブデバイスであるため、アイデアで出ているようなデジカメやGPSを接続するためには、それら周辺機器がUSBホストデバイスである必要がでてくる。現行のデジカメやGPSはそのような仕様をサポートしていないので、PSPと接続して使うためには、結局「PSP対応」と明記された特殊なUSB周辺機器でなければならなくなるだろう。
PSPはPCの世界で標準規格となっているIEEE802.11ベースの無線LANにも対応する。とはいえ、現在3種類あるa/b/gのいずれに対応するのかは未だ決定されていない模様だ。
いずれにせよ、PSPのワイヤレス通信はこれまでの携帯ゲーム機に採用されてきた赤外線信号ではなく、電波方式になるので、指向性のない通信が行える。これは、相手のPSPにアダプタを向けなくても通信が行えることを意味する。
そうなると、知らないうちに面識のないプレーヤーのPSPとも通信ができる可能性があることになる。これは携帯ゲーム機としては初の試みであり、プライバシーやデータ保護などの問題もあるが、同時にユニークな使い方も考えられるだろう。
たとえば、同じ電車やバス、飛行機内に乗り合わせたほかのPSPユーザーと、顔を合わせずに対戦したりすることが可能になるかもしれない。あるいは、ゲームコンテンツから離れたシーンでも、自分の好きなミュージシャンの名前や映画の情報を登録しておいて、自分と同じ嗜好のPSPユーザーがいたら近くに同じ趣味をもつ自分の存在を知らせる……といった出会い系コミュニケーションツールとしての可能性も見いだせる。
現在はそういった具体的なアプリケーション層の提案まではなく、基本的にはインターネット経由でのマルチ対戦や、サーバからコンテンツをダウンロードするなどの活用をメインに想定しているようだ。
PSPの画面解像度はアスペクト比16:9の480×272ドットになることは既知の事実だが、セッションでは、この液晶パネルにバックライトが付くことが明らかにされた。画面サイズは4.5インチでソニーのポータブルビデオプレイヤー「PCVA-HVP20」より二回り大きくなるイメージだ。また、液晶パネルの色深度はRGB各8ビット、合計24ビットの1677万色パネルになる。
現時点では反射型と透過型の両方の性質を持たせた半反射型液晶なのか、純粋な透過型液晶なのかは分かっていない。ただ、ゲームボーイアドバンス(GBA)系で採用されたフロントライト方式ではなく、色再現性で有利なバックライト方式を採用したことは、ゲームだけでなく映像鑑賞の活用も視野に入れたPSPならではの採択と考えられる。
なお、PSPに映像の外部出力端子を実装する計画はないため、PSPの映像を大画面テレビに出力したり、あるいはビデオレコーダーに録画することもできない。この決断は賛否を呼びそうだ。
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