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» 2007年11月26日 12時30分 公開

レコメンデーションの虚実(11)〜ソーシャルとライフログの交差点を目指すソーシャルメディア セカンドステージ(1/2 ページ)

ネットジャーナリスト佐々木俊尚氏が次世代ソーシャルメディアのかたちを探る連載「ソーシャルメディア セカンドステージ」。米国で大学生を中心に急成長し、会員数5200万人以上を誇るSNS「Facebook」が狙う、ソーシャルメディアとライフログの融合とそれに基づくレコメンデーションについて2回に渡り考察します。

[佐々木俊尚,ITmedia]

mixiのはるか先を行くFacebook

 アメリカで急成長しつつあるSNSの「Facebook」は、「mixi」の100キロ先を歩いている。それが良い方向なのか、それとも怪しい方向なのかはまだ分からない。だが現時点で言えるのは、Facebookはソーシャルメディアとライフログの融合を果たしつつあるということだ。

 ライフログについては、説明が必要かもしれない。ライフログというのは簡単に言えば、人間の行動すべてをデジタルデータとして保存することだ。私は昨年春に刊行した本『グーグルGoogle 既存のビジネスを破壊する』(文春新書)で、次のようにライフログを紹介した。

 自分の人生が、どれだけデジタルに転写できるのか?

 デジタルに転写された人生は、イコール自分となるのか?

 もしデジタルコピーの技術がどんどん進化していって、人間が外界から取り入れた五感すべてをデジタル化できるようになったとしたら、そのデータは自分をそのまま表現したものになるのか?

 そうだったらそのデータに転写されない「自分」には何が残っているのか?

 ライフログには、人間の生き方の根幹に影響を与えるような何かが秘められているようにも思えるのだ。

 そしてこれらのライフログが、すべてインターネット上でグーグルによってデータベース化されていけば、どうなるのだろう。

 例えば、

 「二週間前に家族で食べた夕食のメニュー」

 「三十年前、妻と結婚前に交わした手紙の数々」

 「一年前、友人と遊びに行った海岸で見た夕焼け映像」

 といったものが、グーグルの検索エンジンによって瞬時にデータベースから取り出せるようになる。

 これは新しい世界の幕開けである。そして同時に、われわれが想像もしていなかったようなコントロール社会にもなる可能性がある。

イラスト

 この本では、Webのサービスのライフログ化が新たな監視社会の幕開けになる可能性を指摘したけれども、しかしこれは実のところ、巨大なビジネスフィールドの出現でもある。個人のさまざまな行動データを蓄積し、その行動の集合体をマイニングすることによって、最適なレコメンデーションを行うというビジネスだ。

ライフログ収集を目指すNTTドコモ

 しかしこのライフログ・レコメンデーションには、ひとつのハードルがある。どうやって個人のライフログを収集するのかというハードルだ。「自分がどこで何を買ったか」「どこに行って、何をしたか」といったプライベートな情報を、そう簡単には人は出したがらない。

 そのハードルをクリアするアプローチとして最も有望なのは、ライフログを自動収集してしまうことだ。例えば携帯電話。おサイフケータイやデジタルカメラ、GPS(全地球測位システム)を搭載したケータイは、個人の行動データを自動収集するのに最適なデバイスである。

 この分野に取り組んでいるのが、NTTドコモの「マイ・ライフ・アシストサービス」だ。経済産業省の「情報大航海プロジェクト」にモデルサービスとして採択されているこのサービスは、同社の説明によれば次のようなものだ。

 「従来の検索サービスでは、探したい情報中にあるキーワードをユーザ自ら推測し入力して検索しているモデルであり、ユーザに負担がかかり、自ら想定できなかったキーワードに関する情報は知る由もないという状況です。

 NTTドコモが提案する『マイ・ライフ・アシストサービス』では、ユーザに負担を強いることなく日々の行動情報(位置情報・プレゼンス・属性等)を安全に収集・蓄積し、それを活用することでネットワーク上の異なる企業等の様々なサービスや情報を組み合わせて利用者に提供する行動連鎖型検索サービスを構築します。

 将来的に本サービスにより、ユーザは個人情報を必要以上に情報提供者に開示することなく、欲しい情報に加えて、新しい発見情報を従来の検索手段に頼らずに入手できます。一方情報提供者は、自社で管理する個人情報を最小限に留め、統計的な行動情報を自社サービスに活用でき、ユーザの潜在的ニーズに働きかけて新たな消費を産み出すことを目指します」

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