米Googleの買収にまつわる2つのおもしろいうわさのうち、わたしは1つは実現してほしいと思っているが、もう1つは望まれない継子のように消えてほしいと思っている。
1つ目は、TechCrunchが複数の情報筋から、GoogleがSkypeと買収あるいは提携の可能性を話し合っていると聞いていることだ。これはうなずける話だ。
2つ目は、Googleが旅行サイトExpediaの買収を検討しているといううわさだ。投資家はGoogleに収入源の多様化を求めているが、これはいい話とは思えない。
1つ目のうわさに話を戻そう。2005年の時点で、GoogleのVoIPと統合コミュニケーションに対する野望がかすかな瞳の輝き程度のものでなかったら、eBayではなく同社がSkype買収に動いていた可能性は十分あったはずだ。
この数年でeBayのSkype買収が成功とは言い難いことが明らかになり、わたしはGoogleがSkype買収に向かうことを期待していた。eBayのメグ・ホイットマンCEOが昨年10月にWeb2.0イベントで、Skypeは依然としてeBayの重要な資産だと断言したとしてもだ。
投資家がそれを評価したことは知っているが、eBayはその資産に大金を払った――結局Skype幹部にとっておいしい取引になった――ことに動揺を見せるばかりだった。eBayよ、そのでかい犬と一緒に走れないなら玄関にでも座っていたまえ。そして売り飛ばしてしまえばいい。おっと、話が逸れた。
Googleのコミュニケーションへの野望には、TechCrunchのアーリントン氏が指摘するように、GtalkによるVoIPサービス、無料411サービス、GrandCentralなどがある。
SkypeならGtalkの素晴らしい代替サービスになるだろう。温厚なビル・ゲイツ氏の皮肉で分かったように、Gtalkはうまくいっていない。
Skypeは非常にGoogle的なサービスだ。無料で口コミ的に広まり、全世界で2億8000万人以上のユーザーがいる。Google Appsにもうまく収まって、GmailのようにGoogleが広告で収益を得る新たな武器になるだろう。
Skypeには月額3ドルのProバージョンがあり、Googleはこれを年間50ドルのGoogle Apps Premier Edition(GAPE)の一機能として提供できるだろう。だが正直なところ、GAPEに無料版を入れてもうまくいくだろう。
eBayはSkypeを捨てたいあまり、観念して安売りしてしまうだろうか? それとも損を取り戻そうと、Googleに高く売りつけようとするだろうか? そこが障害になるかもしれない。
だが、3年前にSkypeに31億ドルを払って(GoogleがDoubleClickに払ったのと同じ額だ)10億ドル近くの評価損を被り、今もその決断に苦しんでいるeBayのために、Googleは何を「しなければならない」だろうか?
逆に、Googleが同社に広告を出しているExpediaを買収したら、わたしにはつらいことだ。Googleは検索とオンライン広告に通じており、アプリケーションやコラボレーションも得意で、ワイヤレスにも参入しようとしている。
Googleは本当に、Google AppsやAndroidなどが完全でないうちに、電子商取引の道へ進みたいと思っているのだろうか? Google Checkoutはいいサービスだが、Googleが新たな収入源を生む手段として旅行ポータルを持つ必要があるのか分からない。
電子商取引、特に旅行分野に素晴らしい広告機会があることは認めるが、収入を生み出すマシンを手に入れるためだけに、モノポリーゲームのようにマーケットの大部分を買うところから始めるわけなどあるだろうか。これまでのGoogleの買収のほとんどは、成長を促すための戦略的なものだった。
GoogleはPostiniやGrandCentralなどの企業を買収して、Appsポートフォリオに統合している。DoubleClickとYouTubeは、Googleの検索・広告プランと密接なシナジーがある。だからこれらの買収は意味がある。
GoogleがExpediaをどうこうするとしても、そのままにしておいて広告収入と手数料を取る以外にどうするのか見当もつかない。Expediaの取引システムをGoogleが生かせる電子商取引サービスがあるだろうか?
GoogleはExpediaの取引プラットフォームをどう活用するのだろうか? Gtalkを捨ててSkypeを選ぶように、Expediaを選んでCheckoutを捨ててしまうのだろうか?
もしもGoogleがExpediaを利用して既存製品を強化する計画を持っているのならすごい。だが、手を広げるためだけにそうした取引をするべきではないと思う。
いろんな事業に手を広げすぎて、それに足を引っ張られるような会社になってはいけない。
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