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XP SP3トラブル解決で個人ユーザーがヒーローに

» 2008年05月13日 15時57分 公開
[Joe Wilcox,eWEEK]
eWEEK

 これこそ、わたしが米Microsoftに望んでいるトランスペアレンシー(透明性)だ。

 わたしは現在459件のRSSフィードを購読している(この数字は明日には確実に増えるはずだ。わたしのRSSフィードの登録件数はほぼ毎日増えている)。そのうちの1つが、ジェスパー・ヨハンソン氏のブログだ。同氏は自らを「Windowsセキュリティに関するMVP」と紹介しており、確かに同氏は今週のMicrosoft Most Valuable Professional(MVP)プログラムで表彰されている。同氏は自身のブログをひんぱんに更新しているが、最近はそのブログにおいて、Windows XP Service Pack 3(SP3)でトラブルに直面している人たち向けに非常に有用な情報を提供している。

 Windows XP SP3をめぐっては、インストールすると再起動が繰り返されるというトラブルが一部のPCで生じているのだ。妙なことに、これは既におなじみのトラブルでもある。MicrosoftはWindows Vista SP1をリリースした際にも、同様の不具合のために、アップデートの配布停止を余儀なくされている。

 わたしは9日午後にMicrosoftの広報に問い合わせ、メールで返事をもらったが、そのメールには「当社はこれらの問題を認識しており、現在詳細を調査中だ」と書かれていた。

 ヨハンソン氏は自身のブログで、自らの経験に基づき、これらの問題について次のように説明している(同氏はこの数日間にブログを数回更新している)。

 「昨晩わたしが持っているコンピュータのうちXPを搭載する最後の1台にWSUS(Windows Server Update Services)経由でXP SP3が追加された。今朝試してみたところ、再起動が繰り返される現象が発生した。コンピュータを起動すると、適切に起動できなかったとのメッセージが表示され、セーフモードで起動するかと尋ねられるが、それでも起動できず、また再起動が試みられる、といったことの繰り返しだ」

 「今の時点ではっきり言えるのは、再起動の繰り返しはXP SP3自体とは無関係であるということだ。問題は、一部の設定ではSP3の影響で起動中のコンピュータがクラッシュする場合があり、その上Windows XPはデフォルトではクラッシュ時に自動的に再起動するよう設定されている点にある。再起動がエンドレスに繰り返されるのはそのためだ」

 わたしはMicrosoftがサービスパックでまたドジを踏んだことについて書こうかとも思ったが、それよりもヨハンソン氏の率直なブログの方が読む価値がある。同氏が実践しているのは、まさにMicrosoftが自らの姿勢としてアピールしようとしていること、つまり「トランスペアレンシーの向上」だ。同氏は問題を詳しく説明し、自らの経験に基づいた解決策を提供している(この解決策については、後の段落で触れる)。

 ヨハンソン氏は熱心なMicrosoftユーザーであり(同社の元社員でもある)、同社のために弁解の言葉を連ねてもよさそうなところだが、実際には、同氏のブログはその率直さ、誠実さ故に人々の信頼を集めている。元Microsoftブロガーのロバート・スコーブル氏もその率直な発言で注目を集めたものだが、わたしはほかのMicrosoftブロガーの皆さんにもぜひともこうした率直さを見習ってほしいと思っている。

 わたしは数週間前、こうしたMicrosoft MVP受賞者が果たしている重要な役割について、Microsoftでソーシャルメディア、オンラインコミュニティー、インフルエンサープログラム戦略のアドバイザーを務めるショーン・オドリスコル氏、およびコミュニティーサポートサービス担当のジェネラルマネジャー、トビー・リチャーズ氏と話をした。

 「ユーザーは企業よりも個人ユーザーを信頼するようになっている。インフルエンサーに関して重要なのは、彼らの発言が率直であるという点だ」とオドリスコル氏。同氏によると、「Microsoftに対してまず真っ先に判決を下すのがMVP受賞者たちだ」という。

 もっとも、ヨハンソン氏は判事というよりもトップクラスの技術サポートのような存在になっている。

 リチャーズ氏はMVPのもう1つの役割について次のように語っている。「彼らはユーザーコミュニティーの声を製品チームにフィードバックする役割を担っている」。わたしはヨハンソン氏の声がきちんとWindows開発チームに届くよう願っている。

 わたしはもうどのPCでもWindows XPを走らせていないため、ヨハンソン氏のフィックスをテストすることはできない。だがいずれの解決策も信頼できるもののようだ。同氏がトラブルに遭ったHPのコンピュータはAMDプロセッサを搭載している。「恐らくほかのOEMも同じだろうが、HPはIntelベースのコンピュータと同様のイメージをAMDベースのコンピュータにも導入している」と説明している。このイメージはAMDベースとIntelベースのどちらのコンピュータでもintelppm.sysドライバをアクティベートするが、実際には、AMDシステムではこのドライバは不要だ(AMDシステムは代わりにamdk8.sysを実行する)。

 「通常であれば、AMDベースのコンピュータでintelppm.sysを実行しても何ら問題は生じないようだ。だがXP SP3をインストールした後、最初の再起動で大きな問題が生じる」とヨハンソン氏は説明している。

 同氏はこのドライバを無効にするための解決策を幾つか紹介している。そのうちの1つが、「システムに問題が生じた場合に自動的に再起動を行う機能」を無効にするというものだ。わたしがここで概略しなくても、ヨハンソン氏がもっと分かりやすく説明してくれている。XP SP3に関して問題を抱えている皆さんには、ぜひ彼のブログを読んでいただきたい。

 こうした熱心なユーザーがほかの一般ユーザーにいかに貢献しているかについて、Microsoftはいくら感謝しても足りないだろう。なにしろ、Microsoftは目下XP SP3の問題「調査中」なのだから。一方のヨハンソン氏は自らの経験やほかのMVPのアドバイス、およびMicrosoftのオンラインサポート文書から有益な情報をえり分け、ほかのユーザーのために、動作不能状態のXP PCを再び稼働させるための方法を幾つか紹介している。

 Microsoftは最近サーバソフトウェアのローンチイベントを「Heroes Happen Here(ヒーローはここにいる)」というテーマで展開した。ヨハンソン氏は鉄人ではないだろうが、ヒーローであるのは確かだ。同氏のような熱心なMicrosoftユーザーが毎日、一般のMicrosoftユーザーをさまざまな災難から救い出している。

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