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Vistaの約束、Windows 7では守られる?(1/2 ページ)

» 2008年11月10日 09時38分 公開
[Joe Wilcox,eWEEK]
eWEEK

 わたしは本当に、Windows 7で約束された新機能にワクワクしようと努力している。だがこれらの機能の話は前にも聞いたことがあり、そしてMicrosoftは実現してくれなかった。

 そういうわけでわたしは昨日、11月5日から7日までロサンゼルスで開かれたMicrosoftのWinHECについて何も書かなかった。批評する前に、もっとよく観察したかったのだ。7は良くなると信じたい。しかし起動時間の高速化、パフォーマンス向上、バッテリー駆動時間の向上だって? いずれも、MicrosoftがWindows Vistaで約束しておきながら実現しなかったものばかりだ。

 新しい監督者が登場したことは知っている。WindowsとWindows Live Engineering、Core Operating System部門の上級副社長スティーブン・シノフスキー氏は真のリーダーシップを発揮してきた。そのWindows開発管理の手腕に比べると、前任者ジム・オールチン氏の実績も小さく見える。しかしシノフスキー氏が開発の基盤としているのは、ガタガタのVistaなのだ。

 しかしそうなのだろうか。カーネルとコードの多くが評判のいいWindows Server 2008をベースとしているのなら、なぜVistaはガタガタになり得るのか。急ピッチで開発が進められているWindows 7とWindows Server 2008 R2も、大部分共通のコードベースから作られている。Vistaは誤解されているというMicrosoftは正しい。

 だがそうは言っても、Vistaにはマイナスイメージよりも大きな問題がある。Windows VistaとWindows Server 2008は同じ種ではない。人間とチンパンジーはDNAの98%以上が共通だ。しかし違いはご存じの通り。わたしが思うに、この例えで言うとWindows Server 2008は人間だ。ではVistaは何だ?

期待の低さが助けに

 Windows 7の初期の評判は上々だ。だがそうでないはずがあるだろうか。Vistaがこれほど期待を下回ったおかげで、どんな改良でも暗闇の中で光って見える。それに引き換えVistaはWindows XPの比較対象として登場した。XPはほとんどの人にとって十分優れており、大規模なパートナーのエコシステムも築き上げていた。Vistaが応えなければならなかった期待ははるかに高く、そこに到達することができなかった。わたしのテストでは、Windows 7のプレβ版は安定していて多くの点でVistaより進歩している。しかし誰かが自分を殴るのをやめたから気分がいいというのは、快適さを測る指標にはならない。

 それに、Vistaの問題をWindows 7がどれくらい引き継ぐかという現実問題もある。Microsoft幹部は既に繰り返し、7はVistaがベースになると言っており、プレβ版の安定性がそれを実証している。初期のテストでは、Vistaの問題が残るかどうかについてわたしは答えを出せない。7は開発中であり、Microsoftがデモで披露した機能の多くはプレβでは利用できないのだ(創造的なハッキングを使えば有効にできるものもある)。それに開発の現実もある。Microsoftはyという期間内にやらなければならない要件がx個ある。プロジェクトのリリース日が近づくほど、どの機能を存続させるか決めるのが難しくなる。生き残れない機能もある。

 Microsoftは、7はVistaより進歩すると約束している。残念なことに、その多くは守られることのなかった昔の約束だ。新機能と銘打ったものの中には、ずっと前からのWindowsの問題の修正もある。10月27日から30日に開かれたMicrosoftのProfessional Developers Conference(PDC)で、Windows 7ではユーザーがタスクバーから開いているアプリケーションの順番を動かせるようになるというWindows Experience担当プログラム管理副社長ジュリー−ラーソン・グリーン氏の説明に、わたしは笑ったものだ。

 「ユーザビリティー研究所のスタッフがプログラムをすべて閉じてから並べたい順番に開くのを見て、自分の思い通りにお気に入りのアプリケーションを配置して、「マッスルメモリー」に任せることができたら超簡単になるはずだと考えた」と同氏は言った。

 ジュリー、わたしは人々がそうするのを何年も前から見てきた。それに気付くまでに何だってそう長くかかったのか。ドラッグして順番を変えられるブラウザのタブのようなことがWindowsのユーザーインタフェースではできないため、ユーザーのイライラは募っている。自明のことではないのかな。

 約束に戻ろう。優れたユーザーインタフェース(UI)にはシンプルさが必要だ。そのプロセスの背後にある仕組みは、人間の腕と手先を動かす仕組みのように複雑かもしれないが、UIとのやりとりはシンプルでなければならない。さらに重要なことに、UIと製品全体の動作はイライラを極力抑え、喜びを最大限に引き出すものでなければならない。AppleのiPhoneのUIは、完ぺきとは言い難いが、ユーザーを喜ばせるような驚きが隠されている。一方Vistaは、例えば起動時間や復旧時間、UAC警告メッセージなど、執拗なうっとうしさであまりにイライラさせられる。一見小さなイライラは、Vistaに対するユーザーの愛着を減退させ、あるいは完全になくしてしまう。

 ではMicrosoftはどうしたら、ユーザーに7を愛してもらえるのか。幸い、このOSで約束されていることの多くは、Microsoftが加えるべき変更に焦点を当てている。シンプルさを高め複雑さを解消すること、すなわち起動時間短縮、バッテリー駆動時間の向上、パフォーマンス向上、自宅・職場のネットワーク検出、コンテンツ共有の簡易化、プリンタ設定と検出のシンプル化、などだ。残念ながら、Microsoftは以前もVistaでこうしたことを約束していた。MicrosoftはVistaでその約束を守ったのか。コメントまたはメールで意見を聞かせて欲しい。

 わたしは3月に、「Windows VistaについてわたしがMicrosoftに警告した10項目」というブログを書いた。当時わたしはアナリストをしていた。わたしは7についてもこの提言を最大限に活用したい。

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