Vistaの使い勝手に関する最大の欠陥は恐らく、OSが起動後またはスリープから実際に使えるようになるまでにかかる時間の長さだろう。ユーザーは待たされることにいら立ち、ノートPCの利用が増えたことで悪い印象は増すばかり。携帯電話などの携帯端末のおかげですぐに使える、またはほぼすぐに使えることが期待されるようになった。Vistaでわたしが最もよく耳にする不満は、XPよりも遅いということだ。詳しく聞いてみると、多くが言っているのは起動時間のことで、それが全体的に遅いという印象を作り出していた(実際にはVistaは完全に起動した後ならちゃんと動いてくれる)。
わたしは今回のWinHECで約束された起動時間改善の程度には全然心を動かされなかったが、そのプロセスには大きな希望が持てる。わたしのような非プログラマーでも、サービスやデバイスドライバが起動時間を遅らせていることは分かる。だから、Microsoftがこの2つのボトルネックを解消しようとしているのは心から歓迎する。WinHECの基調講演で、Windows Core Operating System部門の上級副社長ジョン・デバーン氏は、Windows 7がVistaに比べて「数秒速く起動する」ようにするための手段を幾つか説明した。
幾つか例を挙げると、デバイスドライバを連続してではなく並行してロードすること、そしてもう1つ大切なこととして、サービスを真にオンデマンドで起動する仕組みをわれわれは開発した。ここにいる誰もがその恩恵を受けたいと思うだろう。なぜならこの想定で起動するサービスの数を減らせば、メモリへのプレッシャーとI/Oへのプレッシャーも減らすことができ、ユーザーに一層快適な起動を体験してもらえるからだ。
ありがとう、ジョン。大好きだよ。ユーザーやハードウェアパートナーはそういうことが聞きたかったんだ。ただし数秒では不十分だ。Outlookを最適化してWindowsでもっとうまく動作するようにしたらどうだろう。もう1つの問題はアプリケーションであり、そして最も悪さをしているものの幾つかはMicrosoftの製品なのだ。
WinHECを終えるに当たってのMicrosoftの課題は、エコシステムを前進させることだろう。Windows XPはもはや、Windowsエコシステムの中心たるハブにはなり得ない。これまでのところ、MicrosoftのWinHECの取り組みはうまくいっているように見える。しかし経済不安が世界中を覆っている。切り詰めを行うハードウェア企業も多いだろう。7のサポートに突き進むのはためらうかもしれない。多くの場合、適切なVista対応さえすれば事足りるとしても。
シノフスキー氏などのMicrosoft幹部は、後方互換性はWindows 7の最優先課題だと言っている。しかしMicrosoftは、デバイスドライバのロードのされ方といった変更を加えており、ハードウェアメーカーはこれを無視できない。Microsoftは彼らを説得し、7のエコシステムに積極的に加わることは時間と金を掛けるだけの価値があると思わせなければならない。ハードウェアメーカーの中には、約束を守れるというMicrosoftの言葉を疑うところもあるだろう。
Microsoftにはほかに選択肢がない。Windows 7は2009年の年末商戦までに発売しなければならず、9月の新学期商戦までに出せればなおいい。いずれ、それほど先のことではなく、少なくとも非公式にMicrosoftが発売日を公表する時がやってくる。このOSは、困難な時にあってパートナーの売り上げ増大に貢献し得る。それだけでもサポートしてもらう理由としては十分だ。
ああ、しかしもう1つ問題がある。Microsoftは2006年の年末商戦にVistaを発売すると約束し、それを反故にした。過去に約束を破れば不信感が生まれる。過去に火傷したパートナーは、その火でうまく料理できるのかと勘繰るだろう。
Microsoftよ、わたしは7を信じたい。10代の子供が自分の部屋を掃除するとか宿題をするとか約束しておいて、何度も何度もその約束を破るのとは違うと信じたい。オールチン氏とシノフスキー氏は7に期待を抱かせ、効率的に開発を管理し、現実的な発売日へ導くという素晴らしい仕事をしているようだ。しかしVistaにまつわるゴタゴタを考えると、信じるのは難しい。そこで読者に問い掛けたい。あなたは信じる? Vistaがそうなるはずだったもの、そしてそれ以上のものに、Windows 7はなれるだろうか。コメントやメールで答えて欲しい。
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