複数の人間が関わるプロジェクトで、最も重要なのはやはりグループ内のコミュニケーション。メールを活用する事例は多いのですが、もっと“効く”のはインスタントメッセンジャーなのです。
前回までは、いわゆるプロジェクトマネジメントのための考え方や、ツールの導入コンセプトをご紹介してきました。今回は、少し視点を変えて、プロジェクトのコミュニケーションについて考えて見ましょう。
複数の人間が関わるプロジェクトで、最も重要なのはやはりグループ内のコミュニケーション。必要なときに直接会議をしたり、1対1で話をできればベストですが、お互い忙しかったり、席が離れていたりするとなかなか頻繁にコミュニケーションを取るというのも難しいのが現実でしょう。
そこでお勧めしたいのが、インスタントメッセンジャー(IM)などのチャットソフトを利用する方法です。
チャットのメリットが最も分かりやすいのは速さです。通常チャットの場合は、メッセージを打ち込んだものが、そのまま相手のPCにも表示されます。誤差があっても数秒程度です。
メールの場合、メール自体は相手のメールサーバにすぐ届きますが、実際にローカルPCで確認するにはメールソフトの送受信処理が必要です。そのため、どうしても間延びしたコミュニケーションになってしまいます。チャットであれば、コミュニケーション手段は文字とはいえ、感覚的には電話や対面に近いリアルタイムのコミュニケーションが可能――というわけです。
一般的なメッセンジャーであれば、メッセージが届いたときにポップアップで通知する機能も付いていますから、相手がPCを使っている最中であればすぐに連絡を取れます。プロジェクトメンバー同士で緊急の確認や連絡を行うのに適しているツールだといえるでしょう。
また、LifeHack的な観点で見ると、チャットがメールより優れている点はメッセージを送る行為そのものが手軽なこと。もしメールを書くとしたらあなたのアクションは下記のようになります。
これがチャットであればどうでしょう。
実際には、送信ボタンを押す最後の操作は、文章を決定する[Enter]キーで代用できますので、送信手順は事実上3段階といえるかもしれません。比べてもらえば、いかにその手間が違うか実感できると思います。
もちろん、1回の行為での差は大したことがないかもしれませんが、何十回、何百回とやり取りする相手であればこの差は大きく効いてきます。頻繁にやり取りをするプロジェクトメンバーとであれば、この違いは重要なのです。
もう1つ、メッセンジャーの大きな特徴がプレゼンス機能。一般的なメッセンジャーソフトであれば、相手がオンラインかオフラインかを確認可能です。
メールだったら、送信してはみたものの、相手がすぐに返事をくれるかどうかは分かりません。メッセンジャーによるチャットであれば、相手がいるかどうかを確認した上で連絡できるため、より確実に連絡を取れるわけです。
もちろん、相手がオンラインの状態でもPCの前に座っているかどうかまでは分かりません。会議中だったり、目の前の作業に集中しているときにはすぐに返事をくれないかもしれませんから過信は禁物。ただ、少なくともオフラインの状態であれば、相手がすぐに連絡を取れない状態であることが分かります。
緊急の連絡を取りたいときに相手がオフラインの状態であれば、すぐにPCでのコミュニケーションを諦めて携帯電話に連絡をするという現実的な選択も可能になるわけです。
メッセンジャーやチャットというと、日本では遊びに使うものというイメージがまだまだ強く、オフィスでの利用を禁止している企業も多いようです。しかし、実は業務に使うことで仕事やコミュニケーションの効率を大きく向上できるツールでもあります。この機会にぜひ、プロジェクトチームや職場のグループで試してみてください。
NTT、ITコンサルを経て、現在はアリエル・ネットワーク株式会社プロダクト・マネジメント室マネージャ。ビジネスパーソンの生産性向上のためのソフトウェアの企画・開発やコンサルティング業務に従事するほか、グループウェアやブログ、仕事術などに関する執筆・講演活動を行っている。ブログは「ワークスタイル・メモ」と「tokuriki.com」
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