連載
» 2007年06月25日 12時10分 公開

第4回 コミュニケーションの5つのチェックポイント(前)良いコミュニケーションを取るために

良いコミュニケーションを取るためには、具体的にどうすればいいのか。今回は、スムーズなコミュニケーションを実現するための態度や姿勢を解説します。

[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]
平本メソッド 良いコミュニケーション
  連載タイトル
  第1回 “やる気”って一体なんだ?
  第2回 コミュニケーションがスムーズなとき
  第3回 スムーズなコミュニケーションのポイント(3〜5)
  第4回 コミュニケーションの5つのチェックポイント(前)
  第5回 コミュニケーションの5つのチェックポイント(後編)
  第6回 「あなたメッセージ」よりも「わたしメッセージ」
  第7回 「事実」よりも「意見」を言う

 前回お話ししたように、良いコミュニケーションが取れているときには、お互いに尊敬できて、信頼できて、協力できて、相手の立場に立てて、目標が一致しています。

 では、具体的には、どういうことをしたらいいのでしょうか。実は、言葉の内容よりも姿勢や態度がまずは大事です。この人と良いコミュニケーションを取るという姿勢が大事なのです。では、具体的にどういう姿勢や態度であれば、良いコミュニケーションがとれるのでしょうか。それが次の5つです。

  1. ヨコの関係
  2. 勇気づけ(承認・長所探し)
  3. その人が貢献しているところを見つける
  4. 勝ち負けや人との比較よりも、いい関係を持つことを重視する
  5. 3つの傾聴レベル(自己レベル・集中レベル・全体レベル)

 以上の5つの態度について、1つずつ紹介していきましょう。

(1)ヨコの関係

 前回、相互尊敬のところでお話したように、人の能力に個人差があることは否定しないでください。できていないのにできている、という必要はありません。それはナンセンスですね。能力は違うのだから、速く走れる人、走れない人というような違いはあるのです。だからといって「お前はビリだから人間としてクズで、お前は速いから優秀だ」なんてことにはならない、ということです。往々にして、人格と能力を一緒にしてしまっていることがあります。

 人格と能力はわけて考えてください。能力には差がある、これは事実なのです。駆けっこが速い人、遅い人がいるし、勉強もできる人、できない人がいる。人を笑わせられる人、想像力のある人もいる。能力の軸はいっぱいあって、人には必ず何かしら長けている部分があります。でも、人格には差がありません。人格はみんな平等だ──という姿勢で接するべきなのです。窓拭きをする平本も、専門学校の講師である平本も、人格は同じです。でも実際に相手と接するとき、つい、あまり分けられていません。

 人格的に対等な接し方といってもイメージがつかみにくいかもしれません。例えば、できる上司は、有能な部下とも、あまり成績のよくない部下とも、同じように一緒に飲みに行って、同じように話をして、同じように家庭の話を聞いている、といいます。

 これは心理学者のアドラーがいう「Friendly&Firm」に通じます。フレンドリーというのは“親しく”、ファームは“確固として”という意味です。すごくできる部下とも、あまりできない部下とも、仲良く同じように接するのですが、ある水準に来たら確固たる態度を取ります。これだけやったら給料がこれだけ上がる、これだけ業績を上げたら評価が上がる、これだけ数字が出せたら次のポジションに行く、というような、公示していることに対しては一切動じません。「課長、お願いしますよ」といわれても、「残念ながらそれはできないね」というのがファームです。

 お客さんに対しても同じです。丁寧に接し、必要なときは確固たる態度も取れるけれど、人格的には対等でヨコの関係を築く。そのほうが良いコミュニケーションがとれます。

(2)勇気づけ(承認・長所探し)

 良いコミュニケーションを取るためには、相手のいいところを探します。機嫌を取ったり同情したりするのではなくて、いいところを見つけましょう。

 ちょっと想像してください。上司、同僚、またはお客さんでもいいですから、過去に自分のいいところを見つけてくれた人、もしくは自分のいいところをいつも探してくれる人を1人思い浮かべてください。時には厳しいことを言うかもしれないけど、根幹の部分で自分の人格そのものを認めてくれている人ですね。では、その人ともっと仕事をしてみたいと思いますか? それとも、もうしたくないと思いますか? 当然、したいと思いますよね。

 では今度は、自分にダメだしする人、もしくは自分の人格そのものをバカにしたり否定したりする人、もし浮かばなかったら、自分の能力を否定する人を思い浮かべてください。自分を思ってくれるがために厳しくしてくれているのではなくて、自分の能力や人格そのものを否定しているかもしれない人。その人と、もっと一緒に仕事をしたいと思うでしょうか。思わないですよね。

 では、皆さんはどちらのタイプの人になりたいですか、ということです。だから、相手のいいところを見つけ、承認するのが大事です。これはゴマをすることとは違います。時には厳しいことを言うのも必要です。つまり、能力、技術、役割、立場に関してはビシッと言ってあげてください。でも、人間そのものは否定しないでください。受け入れているんだよ、できているところを見ているんだよ、という態度を示すことが大事です。

 1つの方法としては、結果よりは過程、できていないところよりはできているところを認めてあげることです。ある仕事を部下にやらせていて、できていない部分があった場合に、「Aさん、ここできてないよ、ここも、ここも、ここもできてないよ。なんとかして」といわれて、部下はやる気が出るでしょうか? 出ませんね。

 できているところを見るというのは、「ここはできているね。ここもできている、ここもいい感じでできているね」と言って、その後に「そして」でつなぎます。「そして、ここもできたらさらにいいよ」と言われたら我慢できますね。「できていないよ」と言われると、「こんなにがんばったのに……」と感じて落ち込んでしまうので、できているところを探してください。

 また、結果も大事ですが、過程を認めてあげることも必要です。結果ばかり見る上司や先輩と仕事をすると、どうなるでしょうか。常にビクビク怖がるかもしれないし、下手したら結果を良く見せようと、インチキをしたり、ごまかしたりして数字を上げようとするかもしれません。

 しかし、自分の過程をよく見てくれている人の元で、手抜きをしようとは思えませんね。結果的に、過程で手抜きをしない人は、長い眼で見ると結果が出るはずです。

 次回は、3〜5──「その人が貢献しているところを見つける」「勝ち負けや人との比較よりも、いい関係を持つことを重視する」「3つの傾聴レベル(自己レベル・集中レベル・全体レベル)」を紹介します。

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ピークパフォーマンス 代表取締役

平本相武(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は「成功するのに目標はいらない!」。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


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