イノベーターとアーリーアダプタで構成される初期市場と、アーリーマジョリティとレイトマジョリティによるメジャー市場の間にある言われる“深いミゾ”――それが「キャズム」だ。正規分布グラフで表現されることの多いキャズムだが、このグラフがExcelで、しかもアドインなしで描ける方法があるのだ。
「キャズムのグラフを描きたいんだけど、どうしたらいい?」。「Business Media 誠」のY編集長がそう尋ねてきた。イノベーターとアーリーアダプタで構成される初期市場と、アーリーマジョリティとレイトマジョリティによるメジャー市場の間にあると言われる“深いミゾ”――それが「キャズム」だ。こうした人々の集まり具合をグラフで表すと、両端が少なく中央に行くに従って数が増える山なりのグラフ――すなわち正規分布グラフになる。Y編集長もこうした正規分布のグラフが描きたいというわけだ。
実は、マイクロソフトのサポートページにも「標準正規分布曲線」のグラフ作成方法の解説がある。解説自体はExcel 95を対象にしたものだが、それ以降のバージョンでも応用可能だ。だが、この説明に従って作業を行うと、1つ問題が発生した。「分析ツール」というExcelのアドインが必要になるのだ。しかも、このアドインをインストールする際には、Excelインストール時のCD-ROMも要求される。正直、めんどくさいのである。
本当に分析ツールが必要なのか? マイクロソフトの解説にあった標準正規分布、つまり人の集まり具合を求める数式は「=1/SQRTPI(2)*EXP((-1)*([対象のセル]^2/2))」。分析ツールが必要なのは、この中で利用されている関数「SQRTPI」を使うためだ。このSQRTPIはπの平方根を求める関数なのだが、先ほどの数式を見ると「SQRTPI(2)」とあり、数値は定数であることが分かる。であれば、2πの平方根の値が分かれば、分析ツールなしでも標準正規分布グラフが書けそうだ。
と思って探していたら、Excel 2003のヘルプに、SQRTPI(2)の計算結果は「2.506628」であると書いてあるではないか。さっそく数式を「=1/2.506628*EXP((-1)*([対象のセル]^2/2))」に変更。すると分析ツールなしで、あっけなく標準正規分布のデータが作成できた。グラフボタンを押して「散布図」からデータポイントを平滑線でつないだマーカーなしのグラフを選択すれば、それっぽい標準正規分布グラフができる――というわけである。標準正規分布ではなく単なる正規分布グラフであれば「1/SQRTPI(2)*」ごと削除してしまうのもありだ。
「Y編集長、できましたよー」と声をかけたら、「ごめーん、もう(グラフを)描き終わっちゃった……」とのご返答。なんとY編集長は手持ちの資料から正規分布グラフの画像を切り出し、Photoshopで加工していたのである。むむー、そっちのほうが早いかも……。資料があるなら、Photoshopから切り出すのもいいし、PowerPointで曲線を使って描く方法もないわけではない。でも、「ちゃんと描きたい」「Excelがいい」という方は上記方法をお試しあれ――。
ソフト | 方法 |
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Excel | 「SQRTPI(2)」を「2.506628」に書き換える 「1/SQRTPI(2)*」ごと削除する |
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