読者のながら──読書から恋愛まで、そしてNagarayattalogy宣言へ樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」(2/2 ページ)

» 2007年08月02日 19時57分 公開
[樋口健夫,ITmedia]
前のページへ 1|2       

洗面所で何する?

 いつも楽しく拝見しております。小生の“ながら”提案は、「朝のトイレしながら歯磨き」です。超貴重な朝の時間にトイレに行く場合の“ながら”を考察したところ、小生の場合は歯磨きでした。読書では時間が足らないし、熱中するとタイムオーバー。食事や着替えはちょっと……。そんな中、何が効率的かどうかを熟考した結果です。なんせ、トイレの時間と歯磨きの時間(約10分)がドンピシャで、いつもは5分程度の歯磨き時間も半ば強制的に10分確保できます! 注意事項その1、トイレ終了後は手を洗うまで絶対歯ブラシに触らないこと。その2、トイレ時間には個人差があります。


樋口 これもまさに“正統ながら”。トイレですらこれだけのことを実行されているのですから、生活すべての中で、さまざまなながらを工夫されているに違いありません。脱帽。2008年版「ポケット・アイデアマラソン手帳」をプレゼントします。

編集部 なるほど、「トイレの時間と歯磨きの時間(約10分)がドンピシャ」というのがいいですね。

 『BORN TO BE WILD』を聴きながらシェーバーでヒゲを剃る。


樋口 音楽を聴きながら何かをすることは人生を通しての「基礎ながら」です。

編集部 音楽を聴きながらヒゲを剃るのはアリですが、ノリノリなBORN TO BE WILDだと、剃りすぎて血まみれになりそうな……。選曲に影響を受ける可能性もありますね。

 歯磨きしながら洗面所の掃除、風呂に入りながら風呂の掃除、など掃除に絡んだものが多いです。普段は忙しいので洗面所や風呂場はわざわざ掃除することは少ないのですが、やっぱり汚れは気になるので、使うときに“使いながら掃除する”のです。


樋口 何をしていても掃除や片付けとは素晴らしい。ながらの基礎が身に付いている人です。

編集部 改めて掃除しようと思うと気持ちを奮い立たせなければなりません。何かをしながらであれば軽い気持ちで続けられそうです。

恋愛も「ながら」?

 遠距離恋愛中なのですが、彼女と電話しながら仕事をしたり、本を読んだりすることができるようになりました。理解度はどうなんだ? とよく言われますが、どちらも理解できてるので不思議です。


樋口 恋愛中でもこれだけクールにながらをできるとは見事です。

編集部 どうやってできるようになったか知りたいです。ぜひ教えてください!

 ニュースを見ながらPCで検索することです。研究生なのであまりテレビを見る時間もなく、お金がないので新聞も取っていないません。インターネットのニュースは、つい自分の興味のあることだけ見てしまいます。そこで、家に帰ったらテレビで深夜のニュースを見るようにしています。ただ、テレビのニュースだとあまり詳しく説明しなかったりするので、テレビのニュースで気になることは、PCで検索します。ニュースを見る時間が短くても、ネットで検索しながら見ることでより深く内容を理解できます。


樋口 若い人たちの生活は、基本的にこのような「ながら検索」が増えていくと思います。

編集部 「ながら検索」、編集部でも良くやっています。テレビ番組からシームレスに検索できるようになるといいのに……。地上デジタルが普及すれば、いずれ実現しそうですが。

「Nagarayattalogy」宣言

 たくさんのご応募ありがとうございます。さて、筆者は更に深く研究するために、日本発のながら学(Nagarayattalogy)の創設を宣言したい。「国際ながら学会」の創設を目指し、最良の「ながら」には「ながら賞」を贈呈する。

 筆者もいくつかの「ながら」を提示し、自分で“人体実験”しているが、ながら学は奥が深く、研究/開発はこれからだ。人間は肉体の動きそのものがエネルギーだ。動きながら電気エネルギーを抽出し、供給する「人間発電所」を実現したい。また肉体の体温エネルギー、人のおならなどのガスですらエネルギーとして利用できないかだろうか。かぜで発熱している人は、その熱を再利用できないだろうか。

 ながら学は、個人に留める必要はない。会社や国家そのものが「ながら」を実行できる。例えば、災害時にコンビニが防災センターと食料保存庫になる可能性は、すでに指摘されている。被災者の保護センターや緊急通報センターなども兼ねるだろう。もっと日常生活の話にふれば、井戸端会議や立ち飲み場所、託児所、コインランドリー、ミニシアターなど、ありとあらゆる「ながら」の可能性を考えていく必要があるだろう。

 日本国も、先端科学立国でありながら都市農業立国も目指したい。科学技術、観光、環境、財務と「ながら」の機能を打ち出すことが望ましい。政府の省庁は、「ながら」で兼務に次ぐ兼務で合理化。大臣であっても、室内自転車で発電しながら、認可の判子を下す。健康的だ。

 このように、徹底的に「ながら」を導入することを検討しよう。ながら学の目的は、限られた時間と空間と人体と情報の最大・最良の活用を目指す。この狭い日本で生きている限り、環境に優しく、効率も高く、ゆとりと楽しさを作るための「ながら」研究は必須だ。「ながら」はありとあらゆる時間的、空間的な瞬間に活用が可能なコンセプトだからである。

今回の教訓

何かをしながら何かする──。両方とも生きるような、自分なりの「ながら」を編み出そう。


著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちら


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ