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» 2007年11月15日 15時49分 公開

やる気をくじく、8つの方法:最終回 「居場所をなくし、個人の努力に期待し、現場に出ない」でやる気をくじく (1/2)

「やる気」のくじき方、最終回はその6からその8まで一気に紹介します。居場所をなくし、個人の努力に期待し、現場に出なければ、しっかりとやる気をくじくことができるでしょう。

[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]

 自然に持っているはずの「やる気」をくじくにはどうしたらいいか。これまで5つの「やる気のくじき方」を紹介してきました。「高すぎる目標」「低い自己評価」「不安を煽る」、そして「細かいことにこだわって」「強い競争」を与えることです。

 今回は残り3つのくじき方、居場所をなくし、個人の努力に期待し、現場に出ないという方法を解説します。

6──「自分の居場所がなくなる」ことは、やる気をくじく

 6つ目のやる気をくじく方法は、自分の居場所がなくなることです。例えば、よくあるのがマネージャーや支店長などに昇進したとき。がんばってがんばって支店長になったら、「あいつ支店長だよ」みたいな感じで、みんなから嫌な感じで見られることがありますよね。こうなると、みんな支店長になりたくなくなってきます。支店長になってみんなから慕われるとしたら、「支店長みたいになりたいな」と思うけれど、がんばったのに居場所がなくなると、やる気がなくなります。逆に、がんばった結果が自分の居場所につながるのであれば、もっとがんばれます。それは単純に給料(お金)の場合もありますが、それだけの問題ではありませんね。

 「居場所」には物理的な場所もあるし、みんなから愛される、尊敬される、という意味もあります。また、自分の居心地という部分もあります。よく、中学や高校で、暴れたり反抗したりして問題になる子がいます。そういう子は勉強ができないか、本当はできるのにできないと思い込んでいて、やっていない場合が多い。勉強はあまりできない、おまけにスポーツもあまり得意じゃないとすると、居場所がないんですね。ところが、暴れたり暴力を振るったりすると、周りから「しょうがないヤツだな」と思われながらも、居場所があるんですね。1人だけ学ランを着てヘンな髪型をするヤツがいる、ということで、みんなが存在を認めてくれているのです。

 居場所という言葉に違和感があるのなら、仲間意識と言い換えてもいいです。がんばればがんばるほど、みんなが協力できるような仲間意識を持てるようになると、やる気が出ます。

 例えば、上司は部下に対して、「キミは偉い」とか「仕事ができる」という承認の仕方をするよりも、「それをやってくれると私は助かる」「それをやってくれると私はうれしい」「それはみんなに、こんな風に役に立っている」という承認の仕方をする方がいいです。つまり、偉いか偉くないか、できているかできてないか、という指摘の仕方は、その人がただ自分だけで存在するわけです。ところが、「キミがそれをやるから、連中は助かっているよ」といわれると、「自分がやることが仲間意識に貢献するんだ」「仲間とより近くなることに貢献するんだ」という意識を持てます。

 「自分の居場所がなくなる」ことと、第4回で紹介した「細かいことにこだわる」を合わせたような有名な話があります。松下幸之助さんのところで働いていたBさんの話です。

事例──自分の仕事の意義、知ってますか?

 Bさんの仕事はでき上がった電球を磨くことです。Bさんは「朝から晩まで電球を磨くだけなんて」と、不満を持っていました。要するにBさんは、自分が何をやっているのか、全体の中の位置付けを分かっていないのですね。しかも、電球を磨くことそのものも、「給料をもらうためにしょうがないんだ」と思っています。

 ところがある日、松下さんが来てBさんに、「いい仕事しているなあ」と言いました。それを聞いたBさんが、「何がいい仕事なんだ! 1日中電球を磨いているだけじゃないか」と文句を言うと、松下さんはこう言いました。「いや、キミはいい仕事をしている。キミが電球を1個磨くと、それがどこかの家庭に行く。その電球が点いたら、夜でも明るいところでみんながご飯を食べられる。いい仕事をしているじゃないか。また君が次の電球を磨いたら、その電球の下で、子供が本を読んだり、算数を勉強したりできるんだ。また君が電球を1個磨くと、どこかの病院で夜でも子供がちゃんと無事に生まれるんだ。いい仕事をしてるだろ」と。それを聞いた瞬間、Bさんは「そうか、僕はいい仕事をしているんだ」と思えて、やる気を出すようになりました。

 つまりBさんは、自分が電球を磨くことの全体の中での位置付けと、自分がこんな風に電球を磨くことが、どこかの役に立っているんだ、ということが分かったのです。


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