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» 2007年11月15日 15時49分 公開

最終回 「居場所をなくし、個人の努力に期待し、現場に出ない」でやる気をくじくやる気をくじく、8つの方法(2/2 ページ)

[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]
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7──「個人の努力に期待」しても、やる気は出ない

 やる気をくじく7つ目の方法は、個人の努力に期待することです。つまり、放っておいてもがんばってくれるだろう、と期待するのではなくて、みんなが自らがんばるようになる仕組み(システム)を作ることが大事です。

 例えば、英会話を学ぶ場合、1人で英会話スクールを続けられないことがありますね。そんなときは、仲の良い友達や好きな人と学校の前で10分前に待ち合わせて一緒に通う、と決めてしまうのです。そうすると、「今日は英会話に行きたくない」と思っていても、「約束しているから」行かざるを得ない。システム的に行くようになっているのです。スポーツクラブに通う、という場合でも使えますね。

 また、会社では、昔はとにかく午前9時にタイムカードを押して、夕方5時なり6時なりにタイムカードを押すまで会社で仕事をさせる、というようなやり方をしていましたが、それでやる気がでるか、能率が上がるか、といったら、上がらないわけですね。そうではなくて、あなたに与えられたここまでの仕事が完了したら、残りの時間は自由にしていいよ、ということにしたら、タイムカードを押さなくても、それだけの業績を上げるために本人が動くようになります。この場合、自分の仕事が全体の中のどういう位置付けで、それだけの業績を出すのは何のためかということを本人に納得してもらう必要があります。確かに、会社で簡単に導入するわけにはいかないでしょうが、そうするところは増えてきています。これもシステム発想です。

 大事なのは、「本人がなんとかがんばってできるように」と期待するのではなくて、自然と本人がその作業をやりたくなるような仕組みや環境を作ることです。

8──「理屈だけで、現場に出ない」と、やる気がくじける

 やる気をくじく8番目の方法は、理屈だけ知っていて、現場に出ないことです。現場に出ないと、やる気がなくなります。

事例──現場に出なかった担当者の意識変化

 私があるビール工場で研修をしたときに、こんな話が出ました。工場で品質管理をしているCさんの話です。Cさんの仕事は品質管理ですが、普段は本当に退屈らしいんですね。作ることだったら、まだ楽しそうですが、ただ品質を管理するだけ。1日中、欠品を探すだけの仕事です。

 で、なかなかやる気が出ない状態だったのですが、Cさんは考えました。自分がチェックしたビールが出荷されて、桜の花見で実際に飲まれている場所に行ってみたのです。すると、どうなったと思いますか? 自分がチェックして、ウチの工場から出荷したものに間違いない。自分がチェックしたあのビールが入った箱がそこにあって、それを飲みながら、みんなが楽しそうに花見をしている。それを見て、「ああ、そうか。俺がしているのはこれなんだ。これでヘンなのが混じっていたら、こんな楽しい花見にならないな」と思えた。自分がやったことが使われている現場を見に行くことで、ものすごいやる気が出てきました。


 例えば、自分が何かの製品を作っている/売っているのであれば、実際にそれを使っているユーザーさんに会ってみることです。それはマーケティングということではありません。「本当にこれ、いいんだよね」と言ってくれている人に実際に会い行く、セールスやアフターケアではなく、本当に純粋な好奇心で、どんなふうに使っているか、喜ばれているかを見ることが大事です。

 現場を見に行くことで、自分がやった仕事の全体の中での位置付けが分かるかもしれないし、自分が役立っていることが分かるかもしれません。

 以上、やる気をくじく8つの方法を紹介しました。こういったものが自分のやる気をしっかりとくじいています。どれか該当するものがあったでしょうか。あったとしたら、特別なことを始める必要はありません。やる気をくじいている毒ガスの元栓を、少し締めるだけでいいのです。

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やる気 | モチベーション | ストレス


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ピークパフォーマンス 代表取締役

平本相武(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は「成功するのに目標はいらない!」。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


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