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» 2008年09月01日 11時30分 公開

部下をやる気にさせて育てる指導術:数値目標だけでは部下は育たない 〜ビジネスの本質とは何か〜 (3/4)

[水野浩志,ITmedia]

「提供価値」から価格を設定しよう

 私が講師を務めるセミナーでは、身銭を切って参加してくる方たちがたくさんいます。その額は、数千円のときもあれば、ときには数万円までの金額をいただくこともあります。

 この時、私は「会場代とテキスト代がこれだけ掛かったから、これだけの価格で売ろう」などとは一切考えていません。それではお客さんが納得し、満足する価格設定などできないですから。

 特にセミナーなどというものは、水商売よりたちの悪い商売です。水商売なら、いくら料金が高くても、最低ドリンクや軽いつまみくらいは出ますよね。でも、セミナーではせいぜいジュース1本が提供されるくらいで、あとは講師がただ話しているだけ。そんなものに、数万円も支払ってもらうためには「原価がいくらのものをいくらで売ろう」という発想では、そもそも成立などしないのです。

 「私の話を聞くことにより、受講者が手に入れられる価値はこれくらいだろう。だったら、これくらいの金額は頂いてもいいのではないか」と考える必要があるんですね。ちなみに、私の場合、その金額設定は「提供価値の10分の1の金額を販売価格として設定する」と考えています。

 ということで、一生懸命お客さんに提供できる価値を高めるように考え、そしてその提供価値の数分の1の価格でお客さんに提供することを考える、ということが、実はビジネスの本質であり、キモとなるのです。そうすれば、お客さんはあなたのビジネスを大いに喜び、そして大いに感謝します。そして「是非あなたと取引させて下さい」と人々が群がってくるようになるでしょう。

 ということで、ここまでのことも含め、改めてビジネスとは何かということを考えてみると、

  • 「受け取る以上の価値を提供し、相手を喜ばせること」

 ではないか、と私は考えています。

 ビジネスとは、常に人と人とが関わり続けながら行われるものである以上、自分のことだけを考えていては成立するものではありません。ですから、いかに相手を喜ばせるか、ということを考えて行動することは、対社外においても、対社内においても、とても重要な考え方であり、ビジネスの大原則です。

 しかし、実際に職場の状況を見てみると、この「いかに相手を喜ばせるか」という大原則が忘れ去られていることが、大変多いようです。その理由はいくつかあると思いますが、一番大きな理由は「数値目標しかない」ことではないでしょうか。

 売上目標・利益目標・コスト削減目標などの数値目標は、たいていの企業が掲げています。ですが、その目標をどんな状態で達成するのか、ということについては、あまり明確になっていないケースが多いようです。

 だから、目標達成のため目先の自分の利益を優先するあまりに、結果として相手に迷惑をかけたり、信頼を失うような取引をしたりしてしまう。こういうことが、よくある話になってしまうんですよね。

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