自動同期を取るためのサービスや、バックアップを取るためのソフトなどは数多くありますが、基本的に、全く同じ内容のファイルセットやフォルダを用意する目的は2つあります。
1つは、複数のPCやモバイル機器間で、同一の情報にアクセスできる体制を整えること。もう1つは、自動的にバックアップを取ることです。
同期が自動的に取られていないと、複数のPCを使っている場合、必要な情報が得られなかったり、仕事のための作業ファイルが扱えなかったりと、さまざまな障害に見舞われます。
人によっては、自動的に同期を取るサービスなど利用せずとも、オンラインストレージサービスなどを利用して、手動で最新の状態にアップデートすればいいではないかと思うかもしれませんが、間違わずに決まった作業を確実にこなす、という点において、人間の能力はあまりあてになりませんん。
小まめにセーブすることの重要性や、小まめにバックアップを取ることの大切さは、そこかしこで強調されています。しかし、落雷とともにサーバやPCがダウンしてしまったときに限って、セーブを怠っていたりするものです。実際にはこれは、いわゆる「マーフィーの法則」ではなく、怠っていることの方が多いから、そうしたトラブルに見舞われる確率も、もともと高くなっているのです。
そのような、あまりあてにならない習慣を自らに課そうとするよりも、自動同期サービスを利用した方が確実です。「忘れていたときでも同期され、バックアップも取られている」という環境を整備しておくことで、習慣を継続するエネルギーも、そのことを忘れずに実行する記憶力も、解放されるわけです。
自動同期やバックアップに以上のような目的があると想定するなら、この種のサービスにおいて理想的な機能とは、
などが挙げられるでしょう。
スピーディーでないと、同期が終わるかどうかを気にしなければなりません。容量が少ないと、作業用のフォルダを分割しなければなりません。フォルダが「マイドキュメントの下の特定フォルダ」などと決められていると、デスクトップなどは使えなくなります。リストアが容易でないと、せっかくのバックアップ機能が生きてきません。
最後に、普段からどんな作業をしているかを意識しなければいけないのでは、せっかく「自動」であることのメリットが薄れてしまいます。
逆にいえば、これらがすべて満たされているなら、複数のPCで作業していても、そのことをいちいち意識せず、いつも同じ環境で、同じ情報に安心してアクセスできるわけです。
1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタルハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』、『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』、『Life Hacks PRESS vol.2』、『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』、近著に『成功ハックス』がある。
心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。
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