上司からいきなり残業を頼まれたら、あなたはどう断っていますか? 上司から感謝までされる上手な断り方があるんです。日常会話にも応用できるその方法とは?
世に寄り道好きな「女性脳」とゴールに一直線な「男性脳」あり。その違いが異性間のコミュニケーションに溝を作る。
ならば「分からない装置」同士、違いを踏まえた会話術で溝を埋めようじゃないか――というのが黒川伊保子(くろかわ・いほこ)さんの考え方で、本連載【寄り道女とゴール男の会話術】のテーマだ。
黒川さんは脳機能論の立場から人間の感性分析を行う企業、感性リサーチの代表である。その主張に基づき、異性間の会話のズレの原因と、すぐ実践できそうな会話術を解説してきた。ざっとおさらいしてみよう。
沈黙もまた、会話である、「察してよ!」の女、気づけない男の交差点、彼女の長話からアイデアを引き出す3つのポイントと続けてきた【寄り道女とゴール男の会話術】も今回で最後。解説するのは、残業を頼まれた時のデキる断り方などだ。異性間にかかわらず広く応用できるので、日常でも実践してみよう。
「ノー残業デイ」の水曜。定時から10分回った18時40分。あなたはちょうど仕事を切り上げたところだ。実用の伴わないノー残業デイを3カ月間やり過ごしてきたあなたにとって、この日は久々に訪れた正真正銘のノー残業デイとなるはずだった。「これなら遊び仲間との7時の待ち合わせに間に合うな」。心でそうつぶやきながらPCを閉じ、まさに席から立ち上がったその時……。
「あ、君。帰るとこ悪いんだけどさ、ちょっと残業してくれないか?」と突然、上司に呼び止められてしまう。しかも上司の手には“ちょっと”では済まなそうな書類の束が。
さて、こんな時あなたならどうしますか?
上司からの頼み事には、反射神経的に「はい!」と笑顔で答えてしまう人もいるだろう。こういう人は友人との約束をキャンセルして残業に突入。残業している最中に、場合によってはすべて片付けた後に「あれ? もしやこれは、定時キッカリに帰ってしまった早田さんの仕事じゃ……」と気づいたとしても時すでに遅し――という結末を迎えるかもしれない。
個人の性格や職場での人間関係にもよるので一概にはいえないが、黒川さんによると、こうした展開になりがちなのが男性だ。一方、女性の場合はもう一歩踏み込んだ対応を取ることが多いという。女性は話を振られた瞬間、女性脳がフル回転し、上司の態度から自分の仕事ではないことを瞬時に感じ取るのだ。
確かめてみると、やはりほかの人の仕事。だからといって、ここでムッとして「自分の仕事ではない」と断るのは賢いやり方ではない。間接的に断りの意志を伝え、しかも相手に感謝までされる賢い対応法があるというのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.