会議の効果を最大化する――ほんの少しの段取りと気配り研修に行ってこい!

社内で行う会議、研修の進行は実担当者のセンスで大きな違いが出てきます。今回は、参加者がいい意見やアイデアを出しやすい環境を提供し、組織にいい影響が生まれるコーディネート力を磨いていくヒントを紹介します。

» 2009年09月07日 20時31分 公開
[原田由美子,Business Media 誠]

 一流と言われる人の仕事ぶりを観察していると、「よくこんなことまで気がつきますね!」と思わず感心することがあります。一流と言われる人は、専門的な分野での能力を磨くと同時に、誰でもごく簡単に取り組めそうなことも考えています。相手の喜び、助けになることがその人にとっての喜びになっているようです。そして、普通で考えると「面倒くさい」とか、「まあいいか」とやめてしまいがちなことにも気を抜かずに取り組んでいます。

 「微差は大差なり」という言葉がありますが、小さなことにも気を配り、おろそかにしない、手を抜かない姿勢は、その人の輝きに磨きをかけます。結果として大きな違いを生み、専門分野での評価も押し上げるのです。そこで今回、身近な仕事で違いが表れるヒントを提供しましょう。

会議、勉強会でセンスを磨く!

 仕事では社内で行う会議、ミーティング、勉強(研修)会が多く開かれます。それらは実担当者のセンスで大きな違いが出てきます。まずは、社内で行う会議や勉強会の種類と目的、運営スタイルを確認します。

種類目的運営スタイル
会議伝達会議決定事項等の情報を確実に伝達する一方通行、短時間
問題解決会議問題を議論によって明確化し、解決策を検討し導きだす参画型、長時間
調整会議意見の食い違いや、人員・スケジュールなどを調整する参画型、数時間
意思決定会議組織的な意思決定が必要なテーマを検討し、意思決定する参画型、数時間〜長時間
勉強(研修)会知識提供型知識を一定の時間内に情報伝達する一方通行
技術指導型技術を実習を通じ指導する実習指導
問題解決問題を議論によって明確化し、解決策を検討し導き出す参画型
企画新しいテーマを検討し、議論によって方向性を導き出す参画型

 種類、目的、運営スタイルを把握したところで、よく行われる集まりがどのような目的で、どのような名称(月例会議、朝礼、企画会議、部門長会議など)がついているのか、確認しておくといいでしょう。

 目的が把握できたところで重要なのは、限られた時間で目的を達成していくことです。そのためには、話し合いがスムーズに行われることや、議論が活性化するための場をコーディネートする意識が大事になってきます。

 場を意識した上で、センスよくコーディネートするには、実際に会議や勉強会が行われるまでの段取り(手順)を明確にし、ポイントをまとめておくことです。ポイントをまとめておくことで、抜け、モレ、ミスも防げることや、実施した後に振り返れること、自分以外の誰かに準備をお願いする時にもスムーズに依頼しやすいなど、メリットがたくさんあります。以下に会議の段取り(手順)とポイントをまとめてみました。

会議の段取り書(例)

手順ポイント
開催前会議目的の把握・会議責任者に、運営目的、運営スタイル、参加対象、人数を確認し、会場を選定します。以降責任者には、プロセスごとに報、連、相を行います
・会場の備品(マイク、プロジェクタ、PC、ホワイトボード枚数、OHP、テレビモニター、VTRなど)や、空いている日時を確認します
・空きが少ない場合は、仮予約をし、回答期日を伝えます
・食事の準備などが必要な場合も、合わせて確認します
参加対象と人数の把握
会場確認
参加者へ仮連絡・参加予定者に、会議等の目的を伝え、会場の空き日程を伝えます
・参加可能日時を連絡してもらえるよう、期日も明確にします
開催日の決定・参加者から連絡をもらったら、開催日を決定します
・会場へ連絡し、正式な予約と備品の手配を済ませます
会場予約・備品の手配
参加者へ正式連絡・参加者へ、目的、日時、会場(案内図)、参加にあたっての依頼事項(資料作成や提出期日、役割分担など)、そのほか留意点(ドレスコード、当日の緊急連絡先など)を文書(メール)にて連絡します
開催前の準備・使いなれていない会場の場合は、事前に会場を視察します
・交通機関(代替機関)、周辺環境、建物内での留意事項(空調設備、喫煙ルールなど)も確認しておきます
・進行の流れ(アジェンダ)、印刷資料(予備1〜2部)、ネームプレート(日ごろのコミュニケーションが少ない場合)、その他備品や緊急備品(マスク、風邪薬など)を準備します
・席次表などを準備します(必要に応じて)
当日会場セッティング・準備時間に余裕を持たせ、早めに会場に入ります
・プロジェクターやPC、座席、配布物、飲料などのセッティングします
・光の加減や机の配置の加減で、狭いところや見えにくいところがないか確認します
案内・席次が決まっている場合は、席次の案内をします
進行・施設案内(喫煙、化粧室、飲料)や参加上のお願い事項(携帯電話)を伝達します
・会議の責任者など、進行を担当する人に進行をお願いします
・会議での決定事項、決定したことの対応を役割分担します
議事録メモ・書記担当者は議事内容のメモをとります
後片付け・机と椅子を元に戻す、ホワイトボードの文字を消す、机をふく、使用機材の返却、カーテン・ブラインド、ゴミ捨て、電気空調などを確認します
・忘れ物がないか最終チェックを行います
・会議室の管理責任者に報告を行います
開催後議事録・書記担当者は議事のメモを議事録(フォーマットを活用)にします
・議事録をメールにて配布(PDFなど)します。配布する際には、機密情報や個人情報等の漏洩に問題がない方法をとります
振り返り・個人またはメンバーで運営上気付いたことを振り返ります
・今後に生かせることは、「会議の段取り(手順)書」に記載します

 段取り(手順)書内のポイントは、一般的な内容を紹介していますので、組織の状況に応じてアレンジしてください。また、その組織特有の習慣や、自分が日ごろ心がけていることなどをプラスしておくとより効果的です。

 さて、ここで+αの知識として知っておきたいのは、机などの配置形式とその名称です。会議や勉強会の目的や人数によって、机などの配置形式も変わってきます。目的や人数で配置形式を判断し、スムーズに対応できたらカッコいいですね。

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 余談ですが、参加者にアンケートをお願いすると、空調設備に関するコメントが多く寄せられます。人によって感じる心地よさは異なることや、その時の健康状態によって、暑すぎる、寒すぎるなどの印象に違いが出てくるようです。

 会場を選定する際には、空調設備の管理のしやすさなどを考慮するのも1つ。その上で、参加者の体調も聞き、風があたる場所を避けたい人などに配慮しましょう。

 また、外部の会議や研修会に参加した際に、会場のパンフレットをもらっておくことや、運営面ですばらしかったところ、改善すべきところなども記録しておくのもオススメです。誠 Biz.IDの過去記事でも会議や勉強会の効率アップのコツを押さえておきましょう。

 参加者がいい意見やアイデアを出しやすい環境を提供し、その結果、組織にいい影響が生まれるコーディネート力を磨いていきたいですね。


著者紹介:原田由美子(はらだ・ゆみこ)

 大手生命保険会社、人材育成コンサルティング会社の仕事を通じ、組織におけるリーダー育成力(中堅層 30代〜40代)が低下しているという問題意識から、2006年Six Stars Consultingを設立、代表取締役に就任。現在と将来のリーダーを育成するための、企業内研修の体系構築、プログラム開発から運営までを提供する。

 社名であるSix Starsは、仕事をする上での信条として、サービスの最高品質5つ星を越える=お客様の期待を越える仕事をし続けようとの想いから名付けた。リーダーを育成することで、組織力が強化され、好循環が生まれるような仕組みを含めた提案が評価されている。


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