PCレスで動作し、小型で持ち運んで使える「ハンディスキャナ」がいま熱い。今回は、いま入手可能なハンディスキャナ3製品を比較してみた。
ハンディスキャナの市場がいま熱い。家電量販店に足を運ぶと、本の「自炊」などで人気の高いドキュメントスキャナと並んで、さまざまなメーカーの持ち運び可能なハンディスキャナを展示している。昨年暮れにはドキュメントスキャナのトップブランドであるScanSnapについてもモバイルモデルの「S1100」が発表されるなど、このジャンルは史上まれに見る混戦の様相だ。
俗に「ハンディスキャナ」「ポータブルスキャナ」などと呼ばれるこれらの製品は、持ち運びが可能という共通点こそあるものの、機能的にはかなりの違いがある。購入にあたって目立つ機能にばかり気を取られていると、他機種では当たり前だった機能がごっそり抜け落ちているのを見落としてしまい、購入後にがっかりすることも少なくない。今回は、いま市場で入手できるハンディスキャナ3製品の機能および使い勝手をまとめてチェックしてみよう。
ちなみに、今回紹介する3製品に共通する特徴は「PCレスで動作する」「読み取りは片面」「1枚ずつ読み取り」――であること。目的や用途によってはモバイルタイプのドキュメントスキャナ、例えばPFUの「ScanSnap S1300」やS1100、キヤノンの「DR-150」なども競合になってくるので、製品選びの際にはあわせてチェックしたい。
2.4型のカラー液晶画面を装備したポータブルスキャナ。発売元はキングジム。ACアダプタもしくはUSBバスパワーで動作し、読み取ったデータはSDカードに保存する。ファイルフォーマットはJPGのみで、Windows用の付属ソフトを用いることでPDFに変換できる。重量は約500グラム。
基本的な使い方としては、まず電源を投入後、本体上部の液晶画面に表示される情報を見ながら、モードをカラーかグレーのいずれかから選択する。
解像度については300dpi固定で、変更はできない。後述の2製品は600dpiに対応しているため、値だけ見るとやや見劣りするが、ビジネス文書を読み取る分には現実的なスペックではある。
カラーモードを選択し、スキャンモードの状態で用紙をセットすると自動的にスキャン開始。A4カラーを読み取って保存するまでのスピードは、毎分約3枚だ。1枚あたり20秒かかる計算である。
実際にはそこまで遅くはないのだが、後述の「3R-HSFA620BK」に比べると2倍以上かかってしまうため、ややスローな感は否めない。
最大読み取りサイズはA4で、切り抜きや薄い紙を効率的に読み取れるスキャンシートを同梱しているので、レシートやメモ、写真などの読み取りに重宝する。ただし後述の2製品のような長尺の読み取りには対応しない。
画質については全体的に暗く、補正ソフトによるコントラスト調整は必須だ。また黒と濃紺の違いが分かりづらいなど、色の再現性という点では一歩劣る。ただし色味が飛んでしまうというわけではなく、また他製品に比べると文字のにじみは少ないように感じられるので、細かい色調を気にしなくて済むビジネス文書向けと言えそうだ。
最大の特徴はやはり5倍拡大のプレビューが表示できるカラー液晶ということになるだろう。後述の2製品ではいったんPCに転送しないと画像が確認できないことを考えると、このメリットは大きい。日本語とアイコンで現在のステータスがわかりやすく表示されるなど、幅広いユーザー層が抵抗なく使えるように工夫している印象だ。
いっぽう、筐体がやや大柄であることから、気軽に持ち運ぶのはちょっと苦しい。用途にもよるが、このサイズであればモバイルタイプのドキュメントスキャナ、例えばPFUのScanSnap S1300やS1100、キヤノンマーケティングのDR-150などとも競合しそうだ。
製品名 | 実勢価格 | 発売元 | 大きさ | 重さ | 電源 | 保存ファイル形式 |
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スキャミル(PSS10) | 1万1800円 | キングジム | 282×76.5×61ミリ | 約500グラム | ACアダプタ/USBバスパワー | JPG(PDF形式への変換ソフト同梱) |
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