モバイルノートではWebブラウザ版のEvernoteを使う：あなたの不安、見積もります

複数のPC間での共有に役に立つEvernoteですが、非力なPCで高機能なクライアントソフトを使うと大変です。特に同期は時間もかかるし、モバイルPCの利点を消してしまう懸念もあります。そこで筆者がオススメしたいのがブラウザ版のEvernoteであります。

[佐々木正悟，Business Media 誠]

　PCを2台以上持っているという前提の話ではありますが、現状ではクライアント版のEvernoteを使うのは、もっともパワフルなPCだけにしておくのがいいかもしれません。なぜかと言うと、ノートブックなどの大幅な変更を行ってしまうと、同期にかなりの時間を要するからです。

　モバイルPCというのは、とにかくすぐ持ち出すという使い方がもっとも威力を発揮します。いつ終わるか分からない同期のためになかなか持ち歩けない――などというのでは本末転倒もはなはだしいのです。

　当たり前ですが、Webブラウザ版のEvernoteを使うのであれば「同期」などは不要。ということは、このWebブラウザ版のEvernoteをもっと活用したらいいのではないでしょうか。例えば、とにかくもっともパワフルなPCのEvernoteクライアントさえちゃんと「同期」しておき、ほかのPC（先ほどのモバイルPCなど）ではブラウザからEvernoteを使えばいいのです。そうすれば、ほかのPCのEvernoteのことは心配せずに済みます。つまり同期をとるPCは常に1台限定としておくのです。

モバイルPCから過激な変更はしない

　Evernoteの同期に時間がかかるのは、あまりにたくさんのノートをあちこちに移動したとか、たくさんのノートが入っているノートブックを削除したとか、そんなときだけです。そういう使い方をそもそもあまりモバイルPCではしないでしょう。モバイルPCしか持っていないのであれば、その限りではないでしょうが、複数台お持ちであればその種の時間がかかる操作はもっとも高性能なPCで行うはず。

　容量の大きなノートの移動などを行わず、たいてい資料チェック、ちょっとした編集程度であれば、ブラウザのEvernoteでも十分。最近使っていないという人はぜひ試してみてください。かなり高機能になっていて驚くことでしょう。

　Evernoteの側でもそういうことをイメージしているのか、ノートブックを作っては入れ替えるだとか、新しいスタックを作って整理するだとか、階層下のタグをたくさん作るといった作業は、ブラウザ版はあまり適していないものの、検索フィールドからノートブックを選んだり、各種フィルタリングを探したりするのは、むしろやりやすくなっている印象です。

　この方法にしてからというもの、私は非常に身軽になれました。私はMacBook ProとMacBook Airというありがちな組み合わせで活動しているのですが、MacBook Proではデスクトップクライアントを使って、MacBook Airではブラウザ版を使う。同期はMacBook Proでしかしません。「母艦」のPCでは時々“大工事”を行うが、ほかのPCではそのことを関知しないといった感覚です。

書籍紹介：クラウド時代のタスク管理の技術

　スマートフォンの登場で実現した「どこでもタスク管理」の時代に贈る日本初のタスク管理の本。iPhone、Android端末などの登場により、タスク管理が手帳ではなく、スマートフォン上で行われるようになってきた。電車の中や喫茶店など、オフィスではない場所で、かなり細かいタスク管理が可能になり、そのノウハウが求められるようになっている。

　本書『クラウド時代のタスク管理の技術』では、単なるToDoリスト管理にとどまらない、プロジェクト管理までをスマートフォン1つで実現してしまうソフトウエアの使い方を解説する。さらに「やるべきこと」管理に加え、夢の実現、「いつかやりたいこと」の実現のための、タスク管理の方法を紹介する。

　「やることが多すぎて、時間が足りない！」と心の中で叫んでいる人には必読の、1日10分でできる夢のToDo管理術を紹介します。

筆者：佐々木正悟

　心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ！−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。