パケット定額ではない生活を3カ月過ごしてモバイルネイティブで行こう(1/2 ページ)

米国でのカルチャーショックは自宅のネット回線が速くないこと。一方、モバイルはWi-Fi環境とともにLTEなどの次世代通信環境が普及しつつある。こうした状況はどのような影響を与えるのか、考えてみた。

» 2012年03月26日 12時30分 公開
[松村太郎,Business Media 誠]

 米国に来て最初にカルチャーショックなのは、決して日本よりも自宅のネット回線が速くないこと。日本の都市部であれば光ファイバーに契約できる。ベストエフォートながら100Mbpsの回線を自宅やマンションで利用できるようになっている。しかし、米国で現在住んでいる場所では、6Mbpsが最高速のAT&TのDSL回線しか契約できなかった。そして雨が降るとどうも回線が不安定になる。

 もっと条件がいい回線を使えるユーザーももちろんいるはずだが、いまだにこんな環境で「よくぞNetflixやHulu、iTunesなどのHD映画配信をサービスインしよう」と考えられるなと感心してしまう。もちろんインフラとサービスやコンテンツを分離して考えているからこそ、サービスを考えるスピードも速く活発な投資も起きるのだろうが、ユーザーは興味を示しても、サービス提供者が考える使い勝手を実現するのはほぼ不可能なことも多い。

 これは日本だとなかなかなさそうな気がするが、自宅のDSL回線よりも、最近手に入れたiPad 4G LTEの方が、通信規格上の速度も実際の速度も速かった。AppleのiPad 4G LTEモデルが、Appleが考えるネットを通じたコンテンツ体験を最も手軽に実現できるデバイスと環境で、AppleはiPadで(その体験の)スタンダードを作り上げる方向にシフトしたのだろう。

「パケホ」ではない世界

 回線速度もさることながら、DSL回線を契約してびっくりしたのは、毎月のデータ転送量にリミットを設けている点だ。「AT&T U-verse High Speed Internet」というプランに契約していると250Gバイトまでのリミットがある。もちろんこの数字は、HDの映画を月に80本以上観なければまず問題ない数字で、これだけネットが遅いとそんなに映画を観る気にもならないから気にならない。

 だが、こういった冷静な計算とは別に「節約しなければ」と考えてしまうのは貧乏性だからだろうか。あるいは大学生のころ(1990年代後半)に「パケ死」に怯えていた経験からだろうか。とはいえ250Gバイトならもう少し気が楽だ。その100分の1以下の2Gバイトに比べれば。

 日本で契約したiPhone、スマートフォン、あるいはフィーチャーフォンではパケット定額プランの加入を推奨している。もちろんケータイメールだけしか使わないからそんなにいらないという人もいるが、スマートフォンのユーザーは100%近くが定額でデータ通信を楽しんでいるはずだ。

 面白いアプリはダウンロードするし、飲み会で面白い場面をビデオに撮れたらメールに添付したりFacebookにアップロードしたり、自由にデータを使っている生活を送ってきた。ソフトバンクで契約していたiPhoneを使っていたとき、4000円ちょっとの定額料金で70万円分のデータ通信を行っていたのだから、驚きを隠せない。

 しかし米国のiPhoneではそういうわけにはいかない。現在契約しているVerizon WirelessのiPhone向けプランにはパケット定額料金はなく、毎月30ドルで2Gバイトまで、50ドルで5Gバイトまで、80ドルで10Gバイトまで利用できるプランしかない。もちろん超過分は1Gバイトあたり10ドルが請求される仕組みだ。ちなみにSprintでは、79.99ドルでテキストメッセージ(SMS)とデータを無制限に使えるプランを用意して、AT&TとVerizonに差をつけている。

 現在契約中のプランは30ドルで2Gバイトのデータ通信が利用できるプランだ。とは言っても日本にいるときに「何をどれだけ使うと何Mバイトだから……」と勘定しながらデータ通信を使ったことなどなかったし、プッシュ通知を受けたり、何の気なしにリンクをタップしてYouTubeの動画を見る、というありふれた使い方をしていると、その勘定も難しい。

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