項目番号は、問題を分かりやすく書くときに非常に便利な手法です。項目番号なしにムリヤリ書いた文章は、非常にくどくて読みにくいのです。
アイデアクラフト・開米瑞浩の「説明書を書く悩み解決相談室」第35回です!
先週、ある会社で文書化能力の研修をしていたところ、受講者から次のような質問がありました。
「複雑なことを説明する時は図解した方がいい、というのはよく分かりました。でも、その図を書くときは、いきなり図を書いちゃっていいんでしょうか? それともいったん文章を書いてから図に直していった方がいいんでしょうか?」
この質問に対する私からの解答は「どっちでもいいです。やりやすい方でどうぞ」となります。
分かりやすい説明を書くためのステップをおおまかに3つに分けると「材料出し」「構造化」「収束」の3段階になります。
「材料出し」というのは、自分が知っていることや参考資料の中から、必要そうな情報を自分以外の人も読めるように全部書き出すことです。「自分の頭の中で分かっている」のではダメで、断片的でもいいから「書く」ことが大事です。
書いたらそれを分解して組み替えて論理構造を探すのが「構造化」です。この連載の中では、今まで何度も論理構造を探すのが大事だという話をしてきました。論理構造を探すためにはその前に、論理を構成する材料が出ていなければなりませんので、材料出し→構造化の順番になります。
そして論理構造が分かったら、それを1つの文書としてまとめ上げるのが「収束」です。構造化は自分が論理構造を探す作業なのに対して、収束段階では他人が分かるように書かなければなりません。
ここで最初の質問に戻ると、「いきなり図を書くべきか、それともいったん文章を書いてから図に直していく方がいいか?」という疑問が出るのは、材料出しと収束の段階を混同しているからと思われます。
材料出しは「頭の中に入っている材料を表に出す」ことで、積み木遊びに例えるなら、積み木を床にばらまいて広げるようなものです。要は全部の材料が見えればよいので、文章だろうが図だろうが形は何でも構いません。
文章を書くのを苦にしない人なら文章で書けばいいし、それが苦手なら断片的なキーワードだけを書き出してもいいし、どちらでもいいのです。どのみち、構造化するためには分解して何度も試行錯誤しながら組み直すので、最初にどんな形で書くかはまったく重要ではありません。
ただ、最終的に1つの文書にまとめる収束段階では、文章と図解を併用する場合が多くなります。文章だけ、図だけではどうしても不十分なので、両者を互いに補うように使うわけです。ここで、特に複雑な構造のある問題の場合は「項目番号」を使うと、構造的な関係をスッキリ簡単に見せられることが多いので、ぜひ使うようにしてください。
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