年末調整とは? その書き方を理解しよう「大増税」時代に備えて(2/5 ページ)

» 2012年11月22日 20時15分 公開

税金の区切りと誕生日の関係

 ここで1つあらかじめお断りをしておきたい。この連載は、サラリーマン時代の筆者でも税金のことが理解できるようにしたいという思いで執筆している。そのため意図的に正確とは言えない表現をしている。例えば「大学生の子供がいると扶養控除が増える」というのは間違いで、正しくは「その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人」あるいは今年の年末調整で提出する平成25年分の扶養控除申告書の場合は平成3年1月2日〜平成7年1月1日生まれ、と表記するのが正しい。

 税金の区切りは1月から12月だが、学校の区切りが4月から3月のためズレが生じる。具体的には大学1年生で4月から12月生まれの人は「その年12月31日現在の年齢が19歳以上……」に該当するが、1月から3月生まれの人は18歳のため同じ大学1年でも特定扶養親族の対象とならず、控除の増額を受けることができない。早生まれの人は3年分しか控除の増額を受けられないという不利益をこうむる仕組みだが国会議員も役人も気にならないようだ。

 誕生日の表記も「平成7年1月1日生まれ」というのは、年齢が1つ上がるのは誕生日の前日になった瞬間というのが常識だそうで、平成25年12月30日から31日になった瞬間に「平成7年1月1日生まれ」の人は19歳になる、ということで1月2日生まれから翌年の1月1日生まれが区切りとなっている。控除を増額する意図や目的は大学生のいる家庭の税負担を減らすためだと思うが、現実はズレが生じている。

 同様に中学生、高校生などの表記も厳密に言うと正確ではない。また、奥さんといった表現も、妻が働いて夫が家事をしているようなケースでは配偶者=奥さんではないが、配偶者という表記より分かりやすい表現を選んでいることにご了承いただきたい。

国税と地方税の差とは

 また、各種所得控除は表のように所得税(国税)と住民税(地方税)とで差があり、細かく表記すると話は一気に複雑になるため、連載の中では所得税を中心に話を進めていきたい。正確な住民税の税額を計算するための調整控除なども簡単に理解できるものではない。サラリーマン時代の筆者のように「トヨタがあるから住民税が安い」と勘違いをしていた方なら、住民税は全国一律10%ということを理解すれば十分だと思っている。

住民税と所得税の控除の差
控除名 住民税の控除額 所得税の控除額
基礎控除 33万円 38万円
配偶者控除 33万円 38万円
配偶者特別控除 〜33万円 〜38万円
扶養控除(一般) 33万円 38万円
扶養控除(特定) 45万円 63万円
扶養控除(同居老人) 45万円 58万円
寡婦控除 26万円 27万円
特定寡婦控除 30万円 35万円
寡夫控除 26万円 27万円
生命保険料控除:旧 〜3万5000円 〜5万円
生命保険料控除:新 〜2万8000円 〜4万円
地震保険料控除 〜2万5000円 〜5万円
住民税と所得税の差

 3つ目のキーワード税率は所得税と住民税で異なっている。所得税の税率は累進課税で、収入(課税所得)が多いほど税率が高くなる。

所得税の税率
課税所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円〜330万円以下 10% 9万7500円
330万円〜695万円以下 20% 42万7500円
695万円〜900万円以下 23% 63万6000円
900万円〜1800万円以下 33% 153万6000円
1800万円〜 40% 279万6000円

 一見すると195万円を超えると5%から10%に倍増したかのように思えるが、195万円以下の部分は5%、195万円を超えた部分に10%の税率が掛かる。例えば課税所得が200万円の場合は、

  • 195万円×5%=9万7500円
  • 5万円×10%=5000円
  • 所得税=9万7500円+5000円=10万2500円

 となる。表の控除額を使用すれば下記の式で簡単に税額を計算できる。

  • 課税所得×税率−控除額=税額
  • 200万円×10%−9万7500円=10万2500円

 住民税の税率は基本的に全国一律10%(市民税6%、県民税4%)。これに均等割という税金を4000円足す。さらに調整控除なるものがあり所得が多めの人で2500円、少なめな人は数万円を引く仕組みとなっている。

 加えて筆者の住む愛知県では「あいち森と緑づくり税」と称する税金を平成21年から毎年500円ずつ徴収している。多くの県に似たような税が課せられていて県によっては1000円を超える税額となっている。ちなみに「あいち森と緑づくり税」の税収は22億円、事業報告書を見ると半分くらいは使っているようだが、残りの半分はよく分からない。

 基本的に一律と書いたのは一部例外があるからだ。神奈川県は4%の県民税が4.025%となっている。全国唯一、県民税が高い県ではないだろうか。愛知県は選挙から3年ほど先送りしていた選挙公約である県民税の減税を平成14年から実施するので、県民税の4%が少し下がることになる。税率と期間は未定だ。逆に破綻した夕張市は市民税の税率が6.5%と0.5%高くなっている。しかしこれらはほぼ例外という感じで、ほとんどの地域で住民税は10%なので全国一律10%と考えていいだろう。

インフレ時代の確定申告

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