筆者は税金のプロではないが、こうして税金に関する記事を執筆するようになって住民税は不要だと思っている。正確に言うと、住民税の徴収システムが無駄ではないかという疑問を感じている。
住民税は所得税の計算が基礎となっている。我々個人事業主の場合、1年間の稼ぎ(収入)と使ったお金(経費)、各種所得控除(保険、年金など)などを計算し、翌年の2月、3月で確定申告を行い所得税、消費税などを納める。確定申告の結果は税務署から各地の自治体に送られ6月から住民税を納付する。
サラリーマンの場合は毎月の給与から所得税が天引きされる。1年間の所得、控除などの結果により翌年の6月から住民税は天引きが始まる。そのため約1年半の時差が発生している。例えば子ども手当により廃止となった扶養控除による増税は、所得税は昨年2011年の1月から、住民税は今年2012年の6月から増税された税金が天引きされている。
住民税の算出が所得税の申告結果に依存しているなら、まとめて国税として徴収して国から地方へ分配をすれば済むはずだ。そうすれば市町村役場に住民税を徴収する担当は不要となり経費(=無駄な税金)の削減となる。時差も発生しなくなる。納付する側の手間も金融機関の手間も削減できる。
現状の徴収システムを民間企業に当てはめると、本社と地方営業所の両方に経理担当を置いているような感じだ。給与計算・支払も本社と営業所で別々に行い、取引先も本社と営業所に別々に入金をするよなイメージだろうか。
住民税の調整控除の仕組みなどは、まるで増設を繰り返した田舎の温泉旅館のようだ。新館の展望大浴場に行くには新館のロビーを通過してエレベーターで上がらないとたどり着けないような、つぎはぎだらけの税システムとなっている。
徴収システムの見直しに併せて一度リセットし、基礎控除や保険料控除の差異などもなくし、スッキリした税の仕組みを構築した方がいいと思っている。
――次回へ続く
年末調整で知る税金の話:年末調整を理解すると増税が実感できる
大増税時代:初心者でも使える! 青色申告ソフトのポイントを徹底解説
大増税時代:青色申告って何? 個人事業主の賢い節税を考える
大増税時代:個人事業主が語る、独立する人が知っておくべき会計経理
大増税時代:確定申告シーズン到来――サラリーマンと個人事業主の税の違いを考える
大増税時代:意外と知らないサラリーマンの住民税、所得税とは何が違う?
Biz.ID Weekly Top10:節分シーズン、豆まきと恵方巻きで思い出すこと
大増税時代:年収440万円、独身の場合は? 節税のコツが分かる税金の話
大増税時代:増税は消費税だけじゃない。大増税時代の税金を理解しよう
SaaS版は来年? 年末調整の取りまとめが簡単に――「弥生 12」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.