モバイルクラウドの活用事例として、特にBtoCにおけるケースを見ていき、それがユーザーの「生活」をどう変えるかに注目していきたい。
本連載は2012年11月に発売した『モバイルクラウド』(中経出版刊)から一部抜粋しています。
爆発的に増える巨大なデータ量(ビッグデータ)の先には「モバイルクラウド」という新たなソリューショントレンドが生まれつつあります。しかしモバイルクラウドの本質は、「ノマド」「ソーシャル」「スマートデバイス」などとともに語られてきた「ワークスタイルのシフト」にあります。本書はモバイルクラウドが私達の暮らしに与えるインパクトを語る一冊です。
今回はモバイルクラウドの活用事例として、特にBtoCにおけるケースを見ていき、それがユーザーの「生活」をどう変えるかに注目していきたい。
クラウド事業者の一般消費者に対するモバイルクラウドサービスとしては、アップルが提供する「iCloud」が最も分かりやすい例である。iCloudはiPhoneやiPad、もしくはMacbookといった端末のどれからでもアクセスできるクラウドサービスになっている。
別のアップル製端末に対して、メール、アドレス帳、カレンダー、音楽、ゲーム、ダウンロードしたアプリなど、すべてを同期できるサービスがiCloudである。
iCloudではクラウド上に無料で5Gバイトのストレージ容量が保有されおり、ローカル端末で購入したアプリやコンテンツ、および自分の撮った写真などを自動でそのストレージに保存できる。このストレージの機能が画期的だった。
何が画期的だったかというと、これまで「端末を変えても同じコンテンツにアクセスしたい」ニーズが非常に強かったにもかかわらず、市場にはそのようなソリューションがコンシューマ向けに提供されていなかった。それが、iCloudによって、iOSの範囲内だけという制約はあるものの、一挙にできるようになったことだ。
モバイルのiOS端末だけでなく、自宅のテレビに対しても、iOSで稼働するセットトップボックスである「Apple TV」という機器を通じて、Apple TVとピアリング(相互接続)をした上で、ピアリングしたiOS端末に入っているコンテンツをワイヤレスで出力できる。
もしくはテレビに接続されているApple TVにもアプリケーションをインストールすることで視聴できるなど、もはやテレビもApple TVによってジャックされるようになったといっても過言ではない。
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