モバイルクラウド時代の6つのビジネスヒントモバイルクラウド(1/3 ページ)

スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末がビジネスの場面にも普及してきた時代、押さえておくべき6つのポイントを紹介する。

» 2013年03月01日 09時30分 公開
[八子知礼,Business Media 誠]

集中連載「モバイルクラウド」について

 本連載は2012年11月に発売した『モバイルクラウド』(中経出版刊)から一部抜粋しています。

 爆発的に増える巨大なデータ量(ビッグデータ)の先には「モバイルクラウド」という新たなソリューショントレンドが生まれつつあります。しかしモバイルクラウドの本質は、「ノマド」「ソーシャル」「スマートデバイス」などとともに語られてきた「ワークスタイルのシフト」にあります。本書はモバイルクラウドが私達の暮らしに与えるインパクトを語る一冊です。


 スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末がビジネスの場面にも普及してきた時代、押さえておくべき6つのポイントがある。これらを押さえておくことで、新しいビジネスを発想する際の一助になれば幸いである。

1.デジタルでないものをデジタル化する

 1つ目は「デジタルでないものをデジタル化する」ことである。世の中にはまだまだアナログ情報が多く存在し、それらの中にはデジタル化することが困難なものもたくさん存在する。これらをデジタル化すれば、蓄積されたデータが格段に利用、流通しやすくなる。

 例えば個人ユースであれば昔のカセットテープ音源、ビデオテープに撮り溜めた映像。ビジネスユースでは重要文化財の写真や関連する素材などである。これらはデジタル化することそのものにも課金可能であるし、デジタル化した後の流通、活用行程でも課金可能である。

2.サービスビジネスにシフトする

 2つ目は「サービスビジネスにシフトする」ことである。モバイルデバイスなどの機器は、既に日本国内においてはほぼ普及してしまっており、単独では機種変更のみが中心の市場となっている。今後継続してさらに販売していくためには、機器と組み合わせたサービスビジネスとして売るビジネスモデルにするべきである。

 一方でコンテンツプロバイダー、ソフトウェアやサービスプロバイダーなどが考えなければならないのは「プッシュする/お客様と接触しに行く仕組み」だ。ユーザーがサービスされていることを実感しないと、お金を払ってくれないか無料サービスで満足してしまう。ユーザーにプッシュする、積極的に接触しに行くことこそが対価を払ってもらえるサービスにつながっていくと考えられる。

3.データを流通させる

 3つ目は、「ネットワークを通じてコラボレーション/流通させる」ことである。前述のような大量のデータは、蓄積するだけでなく、分析、統計処理といった付加価値を付けて、さらに他社に販売したり、異なる組織へ流通させることではじめて有意義なフィードバックとコラボレーションが生まれる。

 過去にも自社内での活用といったレベルでは既に行われてきている。また蓄積するだけでは、情報は3カ月も経てば鮮度が落ちるため、破棄しなければならなくなる。鮮度の高いデータを迅速に実時間内で処理して流通することで、新しい気付きを通じた新しいサービスを生み出していく好循環を構築する必要がある。

4.コストに最適化する

 4つ目は「コストに最適化している」ことである。いくら高品質、高機能であっても高価格なプロダクトやサービスはもはやリーマンショック以降の一般的な市場からは求められていない。富裕層は別として、信頼性が高いのはもちろんだとしても、豊富な機能は提供者側からの押し付けでしかなく、何より安価なものを提供する必要がある。

 特にICT業界においては、これまでコモディティ化した認識がないまま、価格高止まりの投資を引き出す商取引が慣例であったともいえる。クラウドのように経費で払ってもらえるオフバランス経営にも対応したソリューションも組み合わせて、コスト最適化した提案ができるようになることが求められる。

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