直接の競合ではないものの、価格やサイズ感の近いiPad miniやKindleなどの7インチタブレットと電子ノートが比べられる不安はあったと西宮氏は振り返る。
それでも、「手書きの入力性能と、充電して利用できる時間の長さは(電子ノートの方が)上」と判断した。すべての人に受け入れられるものではないが、紙のノートの置き換えという意味ではアドバンテージがあると考えたのだ。
すでにスマートフォンやタブレットを持っている層が新たに電子ノートを買うのかという疑問に対して西宮氏は、「(そういう方も)ノートや手帳は別に持っている。電子ノートは紙のノートに代わるものなので、そこを置き換えるものと考えました」(西宮氏)と答えている。
要望される機能 | 現状の対応と次世代機での検討 |
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UNDO機能 | 軌跡と順番のデータを内部的に保持する必要がある。ペンの追従性を優先するために現モデルでは採用せず。メモリーやCPU性能のクリアが課題 |
バックライト | 書き味のスラスラ感や充電の持ち時間を考えて実装せず。実装するには1日2時間使って30日はバッテリーが持つという現状の基準を変える必要がある |
PC連携について | PCにUSB接続した時点でノートをPCに簡単にコピーできるようなユーティリティーを検討中 |
クラウド対応 | 3G回線を内蔵するスタイルではなく、別の手段を使ってスマートフォン経由で連携するスタイルを採用する可能性はある |
サイズ | 次世代モデルでは、記入面の大きなものを選択肢として用意する可能性はある。ただし大きく重くなりノート的でなくなるのは本末転倒 |
こうして発売された電子ノートは、ユーザーからは好評を博しているという。特に紙のノートのように、汚損や紛失を気にせず手書きのデータを蓄積できる点が評価され、愛着を持つ理由になっているらしい。
そうなると、気になるのが次世代モデルだが、企画はスタートしつつあるようだ。内外からの要望としては別表のようなものが上がっており、いずれも現状の書き味を犠牲にしないことが実装の条件だという。
クラウドへの対応は現状では考えていないというが、筆者が「例えば電子ノートにUSB端子を装備し、そこにユーザーが(別売の)Bluetoothや無線LANのドングルを装着する形はどうでしょう」と提案したところ、西宮氏は「そういう形もあるかもしれません」と答えている。電子ノートをスマホの外縁的な機器として扱うような方向に進化する可能性はありそうだ。
紙のノートを置き換えることをミッションとして登場した電子ノートは、まだ使われ方が定まっていない製品であり、その周囲には便利に使っている人もいれば、まだ使っておらず今後の改善に期待を寄せる人もいる。
スマートフォンやタブレット、古くはPDAを使った経験のある人なら、現状の電子ノートにソフトウェアによる入力アシスト機能がないことを不満に思う人もいるかもしれないが、書き味を確保するためにそれらが実装されなかったという説明は納得できる。
紙のノートには、さまざまな記入法の文化=ノート術が数多く存在し、それがノート愛用者の利便性を高めてきた。電子ノートは今後、こうした紙のノートで培われたノート術的な文化を取り込んでいき、その結果、現在のタブレットがややシンプルになったような方向に進化していくのか。
それとも、データのみがデジタルデータとして保存されるだけで、入力時のアシスト機能や文字認識や図形清書機能などのアシスト機能を採用しないままのプレーンなツールとして研ぎ澄まされた、より尖った商品になるのか。電子ノートの方向性が決まるのはこれからだ。その行く末を見守りたい。
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