部下やメンバーが気持ちよく発言する方法――簡単なので、お試しあれ田中淳子の人間関係に効く“サプリ”(2/3 ページ)

» 2013年04月25日 12時00分 公開
[田中淳子,Business Media 誠]

「それは違う」と言うのをやめた

会議の席などで、部下の発言が少ない……と感じている上司も多いのでは? (写真はイメージです)

 職場で上司と部下が話している時。先輩と後輩が話している時。あるいは、立場上は同等でもあることに精通している人とそうではない人が話している時。前者が後者にとって話しやすいように反応しているかというと、実はここが難しいのだと思う。自分にとってはすでに検討済みのことを意見として出されたら、「そんなことはもう考えたから、もっといい意見を出して」と言いたくなることだってあるに違いないからだ。

 これはあるリーダーの例である。

 30代半ばの彼(Yさん)は、メンバーから出てくる意見などを聞いていると、開口一番「それは違う!」と言う癖があったそうだ。

 「Yさん、○○の件、××の検討を始めたほうがよいのではと考えているのですが」などとメンバーが言ってくると、その言葉が言い終わらないうちに「それは違う」と反論してしまう。

 例えば、上記の会話は、こんな感じになってしまうのだ。

 「Yさん、○○の件、××の検討を始めたほ……」

 「それは違う」

 ある時、Yさんは、あまりにメンバーの話に耳を傾けていない自分に気付き、「それは違う」という反応がマズいのではないかと反省した。「それは違う」と返されてしまうとメンバーは口をつぐむしかなく、その後、Yさんは自分の考えを一気に話し、一方的に指示することが多くなる。これでは、メンバーが育たないではないかと反省したそうである。

 そこで「それは違う」をやめてみることにした。しかし、長年、「それは違う」と言い続けてきたので、つい癖で「それは違う」が口をついて出てきてしまう。

 「Yさん、△△について、□□を……」

 「それはちが……、あ、続けて」

 「あ、はい、□□を調べてみたところ……」

 しばらくは、第一声が「それはちが……」「それはち……」となってしまったが、徐々に慣れてきて、最後は、最初から「なるほどお」と言えるようになったらしい。

 2週間ほどをかけてそこまで進歩(変化)したYさんは、メンバーの変化に驚いた。

 「なるほど」と受けていると、メンバーが楽しそうに自分の考えを述べるだけではなく、「なるほど」「なるほど」と何度もうなずいて聞いているだけで、メンバーの発する考えがどんどんレベルアップしていくことに気付いたのだ。

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