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» 2013年05月23日 11時00分 公開

気持ちのいい会話を生み出す、アサーション・トレーニングとは?世界で通用する人がいつもやっていること(2/3 ページ)

[中野信子,Business Media 誠]

笑顔をふりまきながらも、主張は押し通す

『世界で活躍する脳科学者が教える! 世界で通用する人がいつもやっていること』(アスコム)

 Kさんは、一見とても人の良さそうな、親しみの持てる雰囲気を持っています。なので「この人が、海千山千の強力なビジネスマンが威張って歩くようなアメリカやヨーロッパで、どうやって自社の技術を売り込んできたのだろう?」と考えると、何とも不思議な感じがしてしまいます。ただでさえ、日本人は世界中で「良いカモ」と思われがちだというのに……。

 Kさんはなぜカモにされることなく、相手にとっても自分にとっても良い関係を築き、事業を大きく発展させることができたのでしょうか?

 実は、Kさんはとても物腰が柔らかで、いつも笑顔を絶やさない一方で、主張をぜったいに曲げることがなかったのです。Kさんは、相手の話をよく聞いている人であるのはもちろんなのですが、ずっとお話ししていると、いつの間にかKさんのペースに巻き込まれていくのです。そうすると、話をしているうちにKさんの考え方や方針が、何となく正しい気分になってしまうわけです。

相手を尊重することで友好的な関係が長続きする

 「議論を戦わせて相手のミスを突き、自分の考えを通す」という方法が有効だと考える人も多いかもしれません。特に、欧米で仕事をしていたら、なおさらです。

 でもそれでは、相手を傷つけてしまう場合があります。傷つけられた相手はどう感じるでしょう? 「もう、こんな奴とは二度と仕事したくない」と思ったり、「こいつともう一度仕事することがあれば、徹底的に恥をかかせてやろう」なんて復讐心に燃えたりしてしまうんじゃないでしょうか? これは欧米に限らず、世界中どこでも同じこと。人間の本質によるのです。

 相手を言い負かしたそのときだけは、優越感に浸れます。でも、相手と持続的に良い関係を築いていくことは難しくなってしまうのです。それは、ビジネスのあり方としては、あまり効率の良い方法ではないですよね。

 Kさんのように、いかにも日本人っぽく周囲を気遣うといった「和」を重んじながらも、絶対に譲らない。あわよくば、相手を巻き込んでしまう。こんな方法であれば、相手のプライドを傷つけることはなく、自分のやりたいことも良い形で貫けるのです。

 また、相手を尊重しているという姿勢は崩さないので、友好的な関係を長く保ち続けることができ、互いにメリットが大きいのです。実にしたたかで賢いやり方ではないでしょうか。

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