成功する一握りの人々だけが実践する、共通の「思考の法則」を知るためには、いったん私たちが常識だと考えてきたルールをリセットする必要があります。そして、彼らの行動や考え方に注目し、そのエッセンスを吸収して、その根底にある思考のサイクルを身につけることが重要です。
一見、どれも一般的なビジネスの考え方のように思えます。しかし、激動の時代を生き抜く、優れたビジネスエリートたちは、これらとはまったく異なる考え、行動ルールを持っています。
10年続く企業の割合は6%強です。20年続く企業はほんの2%強。他方、私たちは約40年にわたって長い仕事人生を過ごしますが、その間ずっと生き残れる企業やビジネスは、1%以下に過ぎないのです。はたして、このサバイバルゲームに勝ち残るトップ1%の人々は、どのような考え方の持ち主なのか? そこに、なんらかの法則性はあるのか? その法則を、普通のサラリーマンが身につけることができれば、誰もがうらやむビジネスエリートになることができるのではないか?
成功する一握りの人々だけが実践する、共通の「思考の法則」を知るためには、いったん私たちが常識だと考えてきたルールをリセットする必要があります。そして、彼らの行動や考え方に注目し、そのエッセンスを吸収して、その根底にある思考のサイクルを身につけることが重要です。
もし、それができたなら、あなたは、とてつもないビジネスウエポンを手に入れたことになるでしょう。仕事がエキサイティングで、面白く、成果に応じた経済的報酬によって、あなたの人生は大きく好転するはずです。
競合企業が次々に失速したり、突然死したりする中で、たくましく生き残り、新しいビジネスの芽を作り出していく企業の経営者には、どのような特徴があるでしょうか? 星の数ほどある新規事業の中で、大成功を収める起業家たちは、ライバルとどこが違うのでしょうか?
私は、いろんな企業のケーススタディを追い求めました。すると、成功するケースには、共通するいくつかの行動様式が見えてきたのです。それは、ビジネスの規模や業種に関係はありませんでした。成功者はみな、次にあげる5つのビジネスプロセスを何度も、高速回転で循環させていたのです。何度も何度も、これらのプロセスを試行錯誤しながら繰り返す、というシンプルなルールにのっとって行動しているだけだったのです。
そのプロセスとは、次の5つでした。
もう少しやさしく言い換えると、チャンスを見つけ、構想を練り、実行した結果を見ながら、自らを修正するということになります。これを何度も、何度も繰り返します。私は、キーワードとなった5つの英単語の頭文字をとって「5Aサイクル」と呼んでいます。
「5Aサイクル」を何度も回すことによって、そのビジネスはより強く、より精度が高く、より高い顧客価値を生み出していきます。「5Aサイクル」をベースにしたビジネスモデルは大きな利益を生み出します。ビジネスの芽を発見し、実験と試行錯誤を続けるという一連の取り組みが身についている人は、どんなに激しくビジネス環境が変わっても、その時々で、イノベーションを起こしていくことができます。
たいそうな戦略をもとに、一球入魂で勝負するというより、何度もトライし、自然に進化していくその過程は、自然界で生物が環境に適応していく様に似ています。生物は海から陸へ、そして空へと進化していく過程で、種を保存するために、不要な機能を捨て去り、新たな機能を付加していきました。ビジネスプロデューサーに必要な素養も同じです。ダーウィンの『種の起源』に描かれた進化する生物のように、ビジネスの試行錯誤と適応を繰り返しながら生存能力を磨いていく。それこそが、21世紀のハイパービジネスマンに、本当に求められている能力なのです。
あなたが営業担当者であれ、経理担当者であれ、あらゆる職種のすべてのビジネスパーソンに、ビジネスを革新する力が求められる時代になってきました。業務を効率化するだけでなく、問題解決のための新しい手法を編み出す力が、あらゆるビジネスの現場で必要とされるからです。
もし、あなたが勝ち・負けの二極化する激しいビジネスゲームの中で、常に上りのエスカレータに乗り続けたいのであれば、本書で紹介しているような「5Aサイクル」をベースにした高い理念、洞察力、発想力、実行力、分析力、適応力などを持ち続ける必要があります。
あなたが好まなくとも、現実は想像を超えるスピードで変化のする時代になりつつあります。次々に、新しいイノベーションがやってきて古い角質をはぎとり、100年続いたビジネスモデルを突然死させる時代です。そのような時代に「これまで長期安定してきた」という理由だけで古いビジネスモデルや慣習に固執するのは大変危険です。
だからこそ、未来を予測したり、杞憂したりするのではなく、ビジネスを自らの力で生み出す力が求められているのです。かのスティーブ・ジョブズがMacintosh開発のヒントを得た「パソコンの父」であり、コンピュータのインタフェースやプログラミング言語の基礎を築いたアラン・カーティス・ケイもこのように言っています。
「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」
あなたも未来を知りたければ、変化に応じて機敏に動けるように自分自身のビジネスクリエイティビティを磨いておくべきです。「5Aサイクル」を回す力は、あなたの価値を飛躍的に高めます。そして、それはあなたの未来を明るく照らし、想定外の脅威から守ってくれる最強のビジネスウエポンとなるでしょう。
本連載は2012年12月19日に発売した『トップ1%の人だけが実践している思考の法則』(永田豊志著、かんき出版刊)から一部抜粋しています。
本書は、イノベーションを起こして、ビジネスで勝ち残るための「思考法則」についての解説書です。これからの働き方は、大きく変わります。今まで通りに目の前にある仕事を頑張って働くのではなく、新しいイノベーションを起こしてソリュ―ション(問題解決)することが不可欠になります。本書はあなたの仕事にイノベーションを起こすために、トップ1%のできるビジネスマンだけが実践している「思考の法則」を著者、永田豊志氏が見つけ、分かりやすくまとめたものです。
「営業」「企画」「経理」「総務」「財務」「マーケティング」――など、あなたが何を専門に従事しているかはまったく関係ありません。すべてのビジネスパーソンに必要な「思考」だからです。ぜひ、本書を読んで、変化の激しい時代に、あなたがたくましく生き残れるよう役立ててください。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
ビジネスマンの「知的生産性の向上」をテーマに精力的に執筆・講演活動も行っている。近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』『プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術』『ノート・手帳・メモが変わる絵文字の技術』(中経出版刊)、『すべての勉強は、「図」でうまくいく』(三笠書房刊)がある。
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