プレゼンのアウトラインを固めるために必要なのは、まず構想図を完成させること。今回は、その構想図の「図解プロット」を用意しました。読者のみなさんと一緒に埋めながら、問題解決に挑戦してみたいと思います
プレゼンのアウトラインを固めるために必要なのは、まず構想図を完成させること。これがないと、メッセージがブレブレになってしまいます。今回は、その構想図のテンプレートを読者のみなさんと一緒に埋めながら、問題解決に挑戦してみたいと思います。
さて、今回のお題は「引っ越し」としました。あなたが会社の引っ越し担当者だったら――を想像してみてください。
実は、筆者自身のオフィスも来月頭に引っ越しです。オフィスの引っ越し担当者は住所や連絡先が変わるだけでなく、いろんな設備工事などの段取りが大変です。そんな折、内装工事の遅延が発生。はたして、どのように解決するのか、その提案内容を図解プロットでまとめていきます。
まずは、現実、理想、提案という三大要素の関係図を作ります。提案内容の前提は、「理想」と「現実」とのギャップ。そのギャップを埋めるために、どのような「提案内容」(What?)、その実施方法(How?)をまとめるのがポイントです。
次にドリルダウンです。
現実に起こっている「内装工事の遅延」という問題を引き起こしている原因や詳細情報を付け加えます。これがドリルダウンです。ドリルダウンは、さらに細かい情報にドリルダウンして、枝分かれしていくものです。理想とするのは、本来の予定通りの工事と引っ越しが完了することです。
遅延の原因は2つ。部材がないことと、現場の仕切り不足です。さらに、遅延が深刻である理由として、もう引越日は変更できないという事情があります。遅延の原因には、さらに詳細情報を付け加えます。
当たり前のことであっても、ゴールを確認することは大変重要です。
「現実」と「理想」のギャップが把握できれば、いよいよ提案内容の検討です。
引越日はずらせないので、でき得ることは工事計画の見直しです。そのため、左列の「提案内容」には「計画の見直し」「納入可能部材への切り替え」「仕切りのうまい現場監督への変更」などを盛り込み、さらに詳細情報を数字で具体的に示します(100万円の部材費オーバーを別個所の部材見直しで収支を合わせる……など)
また、右列には「提案内容」を実行するために必要なリソース(ヒト、モノ、カネなど)の情報を付加します。How?に当たる部分です。
こうして、できあがったのが図解プロット(構想図)。全体を見渡しながら、提案内容は現実に引き起こしている問題の原因を考慮したものになっているか? 提案内容は実行するために必要な条件やリソースがモレなく書かれているか、提案内容を実行すると間違いなく理想の状態になると期待できるか、などをチェックして、ヌケやモレを防ぎます。
完成したら、あとは提案書を作って承認をもらうだけ。でも、構想がしっかりしていれば、どのような突っ込みがあってもメッセージはブレることがありません。頭の中に、このようなプロットが完成していれば、周囲も安心してあなたのプレゼンを聞いてくれることでしょう。
パワポの前に「図」で考える――。ベストセラー『頭がよくなる「図解思考」の技術』の第2弾となる本書は、プレゼンテーションの根幹とも言える「メッセージをどう作り、どのように伝えるのか」を図で整理する方法を解説しています。
「見栄えのいいスライドを作ること」や「説得力のある話し方をすること」も当然大事ですが、プレゼンの目的(メッセージ)そのものが洗練されていなくては、聞き手の心には届かないからです。営業プレゼンテーションや講演に限らず、ちょっとした説明や商談、または報告などにも応用可能で、あらゆるビジネスシーンで活躍するはずです。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
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