プレゼンテーションで失敗しない予防策は、前回の「聴衆分析」と聴衆のストライクゾーンを知ること。ストライクゾーンを事前に、正確に把握しておきたいところです。このため、先方とのヒアリングが重要になりますが、どうやってヒアリングをすればいいのでしょうか。
お笑いと同じように、プレゼンテーションでもなるべく滑らないようにしなければいけません。プレゼンで失敗しない予防策は、聴衆を知ること(聴衆分析)、そして聴衆のストライクゾーンを知ることです。商品やサービスの提案などビジネスプレゼンでは特に、ストライクゾーンを事前に、なるべく正確に把握することがとても重要なのです。
答えはプレゼンの聞き手が持っている――とはいえ、聞き手の目的や課題があいまいだったり、プレゼンによって何を成し遂げたいのか、聞き手にとってのゴールの定義が不明瞭だったりする場合は要注意。多くの場合、あいまいな前提条件で提案すると、的をはずすだけでなく、自分の貴重なリソースを無駄に浪費してしまいます。
また、課題やゴールが明確でも、前提条件が定まっていないケースもあるかもしれません。
「よい提案であれば、カネに糸目はつけない」。こう言う発注担当者が、たまにいるのですが、絶対に真に受けてはいけません。実際に無尽蔵に予算があることはありえないので、前提条件は決まっているはずです。なんとかして、予算の限度額を把握するように努力しましょう。「○億円くらいの提案もありますが……」などとふれば、本当に予算のない担当者はうろたえるはずです。
プレゼンのゴールが不明瞭な場合は、担当者に「例えば、こんな提案だったら、どうですか?」と具体的なケースに対する反応を聞くのがよいでしょう。要件があいまいであっても、具体的な提案に対してはジャッジができる担当者は多いものです。具体的なアイデアをいくつかぶつけてみて、最終的なストライクゾーンがどのあたりかを推定するのです。
ストライクゾーン確認のポイントは次の3つです。
そのために、まずは聞き手に投げてみることが大事。直球、カーブ、フォーク、ど真ん中、わざとはずしたボール球――いろんな球にどんな反応があるのか。それを見極めるのが、ヒアリングです。
ヒアリングがしっかりできれば、後は要望に沿ったアイデアを考えるステップです。ストライクゾーンは分かっていますから、どのようなアイデアに相手が共感できるかは、判断しやすくなっているのではないでしょうか。
パワポの前に「図」で考える――。ベストセラー『頭がよくなる「図解思考」の技術』の第2弾となる本書は、プレゼンテーションの根幹とも言える「メッセージをどう作り、どのように伝えるのか」を図で整理する方法を解説しています。
「見栄えのいいスライドを作ること」や「説得力のある話し方をすること」も当然大事ですが、プレゼンの目的(メッセージ)そのものが洗練されていなくては、聞き手の心には届かないからです。営業プレゼンテーションや講演に限らず、ちょっとした説明や商談、または報告などにも応用可能で、あらゆるビジネスシーンで活躍するはずです。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
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