相手の信頼を得る「ラポールの形成」とは?世界で通用する人がいつもやっていること(1/2 ページ)

あなたは聞き上手なほうですか? 人は誰でも、自分の話をちゃんと聞いてくれると嬉しくなるものです。世界で通用する人というのは、聞き上手に徹して信頼を得たところで、気付かれないように相手を自分の思い通りに動かしているのです。

» 2013年05月30日 11時00分 公開
[中野信子,Business Media 誠]

集中連載「世界で通用する人がいつもやっていること」について

 本連載は、世界で通用する仕事やコミュニケーションをこなす一流の人たちが実践していることを紹介している、中野信子氏著、書籍『世界で活躍する脳科学者が教える! 世界で通用する人がいつもやっていること』(アスコム刊)から一部抜粋しています。

 世界で通用する人がいつもやっていることとは、具体的にはどういうことなのでしょうか? 実は、「空気は読まない」「敵を味方にしていく」「適度なストレスを与える」「いつでも仕事が楽しそう」など、ちょっと練習が必要なものもありますが誰もが簡単に身につけることができるものばかりなのです。

 著者の中野氏は、東京大学大学院医学系研究科出身の脳科学者。世界上位2%のIQ所有者のみが入会を許される「MENSA」に所属し、フランス原子力庁勤務の経験もあるという。本書は、世界で活躍する脳科学者・中野信子氏が世界中で出会ってきた、世界で通用する仕事やコミュニケーションをこなす一流の人たちが実践していることを紹介した、今までにない自己啓発書です。本書を通じて、自分を磨くことをどんどん楽しめる人になってください。


著者プロフィール:

中野信子(なかの・のぶこ)

 東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻修了、医学博士。2010年までフランス原子力庁に勤務。世界で上位2%のIQ所持者のみが入会できるMENSAの会員。

 現在、脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行っている。

 学習法だけにとどまらず、音楽と脳、セックスと脳、コスプレと脳、恋愛と脳、人工知能と脳、言語と脳、香水と脳など、従来にない脳の分析も得意とする


相手と噛み合わないと逃げたりケンカする人が多い

 前回は「自分のやることが、必ず誰かのためにもなっている」という、Yさんの行動の基本を紹介しました。でも、次のように思ってしまう人も多いと思います。

 「『誰かのためになる』とか『誰かに褒められる』を意識しすぎると、ただの『都合のいい人』になってしまうんじゃないか」。あるいは「自分がもともとやりたかったことが、他人の意見に左右されてブレてしまうんじゃないか……」。

 では、Yさんは自分のやりたいことと誰かが必要としていることが、うまく噛み合わないときはどうしているのでしょうか。

 まずは、自分がそういう立場になったと想定して検証していきましょう。あなたなら、そういうことが起きた場合にどういう行動をとりますか?

 言いたいことはガマンして自分を殺し、相手の意図に合わせるでしょうか? それとも「この人とは話が合わない……」と距離を置きますか? 中には、強い態度で自分の意図を主張する人もいるかもしれませんが、ケンカ別れになってしまうことが多いでしょう。

まずは相手にとことんしゃべらせよう

 Yさんの態度はどれとも違います。彼は一見、受け身のように見えるほどやわらかな態度をとります。それでいて、なぜか彼の手にかかると彼がやりたいように物事が進んでしまいます。ちょっと不思議ですよね。

 Yさんは確かに非常に迫力のある人なので、相手が自然と彼に合わせるというような側面もなくはありません。でもYさんはそれ以前に、あることを工夫しているようなのです。自分では企業秘密(?)と思っているのか、はっきりとは口にしませんが、私は次のように思いました。

 それは、最初はとにかく相手にしゃべらせること。話し上手よりも聞き上手に徹するのです。人は誰でも、自分の話をちゃんと聞いてくれると嬉しくなるものです。すると相手は気分が良くなってきて、自分を信頼しやすくなります。

 このようにして信頼を得る方法を、ラポールの形成といいます。クライアントとの信頼関係を築くために、カウンセラーが使うテクニックです。

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