ここまで説明したように、SV600は新しいコンセプトで非接触のスキャンを実現したスキャナであり、大切な書籍や雑誌を裁断することなくPDFファイルなどに電子化できる。ただし、使いこなすにはちょっとしたコツや煩雑な修正作業がつきものであることも事実である。
筆者はこの原稿を書くために、雑誌や新書、ハードカバーの書籍など、さまざまな本を試しに読み込んでみた。作業そのものは楽しく進めることができた。しかし20〜30ページの原稿を読み込むのなら何とかなるが、そのページ数を超え、本一冊丸ごとスキャンするにはかなりの覚悟と、手間と工夫が必要だ。何十冊もある蔵書を、これ1台ですべて電子化するという用途には向かないといわざるを得ない。
しかも本を読み込んだ後、ゆがみを修正したり、写り込んだ指を消したりできるが、本によってはスキャン画像にどうしても少しゆがみが残る。前ページの画像のように、直線は少し曲がり、行はやや蛇行したようになってしまうのだ。このゆがみが気になる人にはSV600は向かないかもしれない。
ただし自分で読み込むだけと考えると、例えば指が写っていてもそのままにするなど大幅に割り切って修正作業や補正作業を減らすことも可能だ。多少直線が曲がっても、文字がゆがんでも読めれば良いという割り切りの考え方はあっていい。このあたりはユーザー次第だ。
自炊代行業者にお薦めできるかというと、微妙だ。従来のように、裁断して従来型ScnaSnapのようなシートスキャナで一気に読み込んでしまうほうが、圧倒的に作業効率が良さそうだ。スキャンした結果の画像ゆがみも、シートスキャナのほうが少ないと思う。
しかし筆者としては、SV600のように蔵書を裁断しないで「自炊」を可能にする新しいスキャナは大歓迎だ。一冊丸ごとでなくても、必要な部分だけ電子化するのなら現実的だ。
そして個人的には、SV600での「自炊」の作業は、一種のDIYとして楽しいとも思う。サーチライトのように光が移動して画像を読み込む、ちょっとサイバーな感じも良い。
また読み込み時に本を指で押さえる点をもう少し工夫できないか、考えてみたいと思っている。また、名刺を10枚を一度に読み込めるのにも興味があり、これももっと試してみようと思う。
後編では、さらにSV600を活用する工夫などをリポートをしたいと思う。
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コンパクトドキュメントスキャナ、ScanSnapと“最強のライバル”を比べてみた(前編)Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.