コンパクトドキュメントスキャナ、ScanSnapと“最強のライバル”を比べてみた(前編)ガチンコ対決!2009秋の陣(1/3 ページ)

紙書類のデジタル化に威力を発揮するドキュメントスキャナ。コンパクトタイプの最新モデルにあたるPFU「ScanSnap S1300」とキヤノン「imageFORMULA DR-150」のガチンコ対決をお届けしよう。前編となる今回は、基本スペックとサイズおよび設置面積の違い、開閉の手間などを、動画を交えながら紹介する。

» 2009年11月20日 15時00分 公開
[山口真弘,Business Media 誠]
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 デスクまわりにあふれる紙書類。これらのデジタル化に最適なのが「ドキュメントスキャナ」だ。ADF(自動原稿送り装置)に紙書類をセットしてボタンを押すだけでスキャンが始まり、読み取った内容がPDFやJPGのファイルとなってHDDにストックできる。紙の書類はあっという間にお役御免、即シュレッダー行き――というわけだ。いちどこの快適さを体験してしまうと、ドキュメントスキャナなしでは日々の業務をやっていけなくなるほどである。

左がPFUの「ScanSnap S1300」。右がキヤノンマーケティングジャパンの「imageFORMULA DR-150」。いずれも今秋発表したコンパクトタイプの最新モデル

入門用として注目を集めるコンパクトタイプのドキュメントスキャナ

 紙書類のデジタル化には、省スペース以外にもさまざまなメリットがある。メールにかんたんに添付できることは当然として、OCR処理を施すことによって本文のテキスト検索が可能になる点も、紙のままでは絶対にできないメリットだ。唯一の欠点とも言える閲覧性についても、液晶ディスプレイの大型化およびワイド化が進んだこと、さらに高解像度化によって画面に見開きが表示できるようになってきたことから、その差は着実に狭まりつつある。

 このドキュメントスキャナには、普及タイプである据え置き型製品のほかに、折りたたんで持ち運びが可能なコンパクトサイズの製品も存在する。一度に読み取れる枚数や速度の面でやや劣る場合もあるが、据え置き型製品の価格が4〜5万円クラスであるのに対し、これらの製品は2〜3万円で購入できることから、エントリーユーザー向けの製品としても注目が集まっている。

 今回は、このコンパクトサイズのドキュメントスキャナについて、今やドキュメントスキャナの代名詞ともなっているPFUのScanSnapシリーズ、そして最近になって急激に知名度を高めつつあるキヤノンマーケティングジャパンのimageFORMULAシリーズ、それぞれの最新2モデルを取り上げ、製品特徴や性能の比較を行ってみたい。PFUの製品は「ScanSnap S1300」。キヤノンの製品は「imageFORMULA DR-150」。いずれも今秋発表された最新モデルだ。

左がPFU「ScanSnap S1300」。上位モデルの「ScanSnap S1500」と共通のデザインに改められた。右がキヤノンマーケティングジャパン「imageFORMULA DR-150」。コンパクトプリンタに似たスクエアな筺体が特徴的だ

まずは基本スペックの比較

 実際に使う前に、まずは基本スペックを比較しておこう。以下の表の通りだ。

製品名 imageFORMULA DR-150 ScanSnap S1300 (参考)
ScanSnap S1500
メーカー キヤノン PFU
重量 約1キロ 約1.4キロ 約3キロ
サイズ(開いた状態) 280×202.2×222.7ミリ 284×231×240ミリ 292×475×286ミリ
サイズ(閉じた状態) 280×40×95ミリ 284×99×77ミリ 292×159×158ミリ
電源 USB
USB+給電用USB
ACアダプター(別売)
USB+給電用USB
ACアダプター
ACアダプター
用紙サイズ 自動サイズ検知、A4、A5、A6、B5、B6、リーガル、レター
幅:50.8〜216ミリ 長さ:70〜356ミリ
サイズ自動検出、A4、A5、A6、B5、B6、はがき、名刺、レター、リーガル、カスタムサイズ(最大:216×360ミリ、最小:50.8×50.8ミリ)
長尺は863ミリまで対応
サイズ自動検出、A4、A5、A6、B5、B6、はがき、名刺、レター、リーガル、カスタムサイズ(最大:216×360ミリ、最小:50.8×50.8ミリ)
長尺は863ミリまで対応
A3キャリアシート使用時:A3、B4、11×17インチ、写真(E版、L版、LL版)
厚さ制限 52〜128グラム/平方メートル 64〜104.7グラム/平方メートル 52〜127グラム/平方メートル
読取モード 二値/多値 カラー/グレー/白黒 カラー/グレー/白黒
読取速度
(カラー300dpi、A4タテ方向の場合)
6枚/分(6面/分)
6枚/分(12面/分)
(給電用USBケーブル併用時、またはACアダプター使用時)
2枚/分
4枚/分
(ACアダプター使用時)
20枚/分
給紙枚数 約20枚(64グラム/平方メートル) 最大10枚(A4:80グラム/平方メートル) 最大50枚(A4:80グラム/平方メートル)
対応OS Windows Windows/Mac OS Windows
※Mac OSは別モデルあり
実売価格
(11/19現在)
29800円
※ビックカメラ価格
27800円
※メーカー直販サイト価格
49800円
※メーカー直販サイト価格

 いずれもメーカーサイトに掲載されている仕様一覧から抜粋したもので、変更しても差し支えないと思われる表現は比較のために一部を改めている。項目については、筆者がこれまでドキュメントスキャナを使ってみて重要だと感じたものを中心にピックアップ。さらに比較対象として、据え置き型の「ScanSnap S1300」も仕様を併記した。

 気になるポイントをいくつか見ていこう。まずは対応用紙サイズ。目に付くのは、はがきおよび名刺への対応の有無だ。具体的には、PFU ScanSnap S1300の項目にははがきおよび名刺が明記されているが、キヤノンimageFORMULA DR-150にはその2つの名がない。もっとも、キヤノンimageFORMULA DR-150も幅は50.8ミリから、長さは70ミリから対応するとされているので、サイズだけ見ると読み取れそうに思える。実際にテストしてみる必要がありそうだ。

 また、読取モードも要チェック。PFU ScanSnap S1300は、カラー/グレー/白黒の3通りとなっている。これに対してキヤノンimageFORMULA DR-150は二値/多値。表現が統一されていないために分かりにくいが、キヤノンimageFORMULA DR-150はカラーとグレーが同一モードとなっているのではないかと思われる。どのようなPDFが生成されるか、実際に使ってチェックする必要があるだろう。

 大きな差があるのが読取速度だ。オーソドックスな読取条件である「カラー300dpi・A4タテ方向」で比較すると、PFU ScanSnap S1300が2枚/分であるのに対し、キヤノンimageFORMULA DR-150は6枚/分。約3倍の差だ。本当にこれだけの速度差があるのなら、たくさんの原稿を読み取らせるとかなりの差がつくことになる。ここものちほどチェックしよう。

 さらに給紙枚数の差も見逃せない。PFU ScanSnap S1300が最大10枚(A4:80グラム/平方メートル)であるのに対し、キヤノンimageFORMULA DR-150は約20枚(64グラム/平方メートル)。前提となる用紙の厚みが等しくないため、実際にはもうすこし差は縮まる計算になるが、それでもキヤノンimageFORMULA DR-150のほうがPFU ScanSnap S1300に比べて原稿を多くセットできる計算になる。

 対応OSについては決定的な違いがある。キヤノンimageFORMULA DR-150がWindows専用であるのに対し、PFU ScanSnap S1300はWindows/Mac OSのハイブリッドモデルになっている。Mac OSで利用したいユーザーは現在のところ、問答無用でPFU ScanSnap S1300ということになる。なお、上記の表ではざっくりと「Windows/Mac OS」としか表記していないが、添付ソフトによって特定のOSで使えたり、使えなかったりする場合があるので、詳細はメーカーサイトで確認していただきたい。

 目に付くのはざっとこんなところだろう。もっとも、両社が同じ条件で測定しているわけではないため、そのまま鵜呑みにするのは禁物。実機テストで詳しくチェックすることにしよう。

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