「会社の経費で落ちるか」を気にしていると、自分に投資ができなくなるずっと「安月給」の人の思考法(1/2 ページ)

労働者が仕事で使ったお金は、必要経費として会社に請求できます。業務命令として使ったお金を会社が負担すること自体は問題ではありませんが、この「経費精算」に慣れてしまうと、自分のためにお金を使う――、つまり「投資」ができなくなってしまうのです。

» 2013年08月27日 11時00分 公開
[木暮太一,Business Media 誠]

集中連載「ずっと「安月給」の人の思考法」について

 本連載は、木暮太一氏著、書籍『ずっと「安月給」の人の思考法』(アスコム刊)から一部抜粋、編集しています。

 給料の上がる人と上がらない人は何が違うのか。そもそも給料とはどうやって決まるのか。で、どうすれば給料は上がるのだろうか。

 「年功序列は悪!」と考えている、「生産性が上がれば、給料も上がる」と期待している、「チャンスはいつまでもある」と思っている、就業規則を読んだことがない、「会社の経費で落ちるか」をいつも気にしている、「人は見かけが9割」を理解していない。

 そんな全国のサラリーマンに贈る本書には、いつまでも薄給の「あの人」みたいにならない思考のヒントが満載です。

 ベストセラー『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』(星海社新書)の著者である木暮太一が、1年の歳月をかけて完成させた渾身の1冊。


著者プロフィール:

木暮太一(こぐれ・たいち)

経済入門書作家、経済ジャーナリスト。

慶應義塾大学 経済学部を卒業後、富士フイルム、サイバーエージェント、リクルートを経て独立。学生時代から難しいことを簡単に説明することに定評があり、大学在学中に自作した経済学の解説本が学内で爆発的にヒット。現在も経済学部の必読書としてロングセラーに。

相手の目線に立った話し方・伝え方が「実務経験者ならでは」と各方面から高評を博し、現在では、企業・大学・団体向けに多くの講演活動を行っている。

今までで一番やさしい経済の教科書』(ダイヤモンド社)、『学校で教えてくれない「分かりやすい説明」のルール』(光文社新書)、『カイジ「命より重い!」お金の話』(サンマーク出版)など著書多数、累計80万部。


安月給の思考法7.「会社の経費で落ちるか」をいつも気にしている

 労働者が仕事で使ったお金は、必要経費として会社に請求できます。交通費や接待費、備品代などなど。ある意味、業務命令として仕事で使ったお金を会社に負担してもらうのは自然なことで、それ自体は問題ではありません。

 しかし、この「経費精算」に慣れてしまうと、あなたは自分でお金を「投資」できなくなります。

 「自分のお金じゃないから、よく吟味せず会社のお金を使うようになる」という状態にもなってしまうでしょう。しかしここでお伝えしたいのはそこではありません。

 「自分のお金を自分のために使えなくなってしまう」ということなのです。経費精算できるのであれば、結局あなた自身は何も買っていないことになります。その結果、仮に自分の将来のために必要なものがあっても「これは経費で落ちないから買えない」と考えるようになってしまうのです。

 以前、勤めていた職場でこんなことがありました。ある著名なビジネスマンが雑誌のインタビューで「これからは自分の勉強のために大学院などの社会人スクールに通ったほうがいい」と語っていました。それをオフィスで読んで職場の先輩や上司に伝えたところ、

「そんなこと言ったって、学費は経費で落ちないぞ」
「会社が補助を出してくれればいいのになぁ」

というリアクションが返ってきました。

 また、かつて、3日間で10万円のビジネスセミナーに会社の研修として参加した友人が「参加者の3分の1くらいは、自腹で参加していてビビッた」と語っていました。

 これらはまさに「安月給の人の思考法」です。自分のお金を使うことができないのです。

 確かに、会社がお金を出してくれればうれしいでしょう。しかし、会社がお金を出してくれるから行くのではなく、自分がその金額に見合う意味があると思ったものには、自分のお金で参加しなければいけません。

 自分のお金であれば、より慎重に使い道を選ぶでしょう。それは自然なことです。自分が価値があると認めたものにお金を使えばいいのです。

 しかし「経費精算」に慣れていると、商品を買う基準が「経費で落ちるかどうか」になってしまいます。

 面白そうな本があっても「経費で落ちるかな……」、尊敬する経営者の勉強会を見つけても「参加費5000円か。経費として認めてくれるかな……」といちいち考えるようになってしまうのです。

 いいものと分かったら買うべきだし、投資をすべきです。あまりにも経費精算に慣れてしまうと、それができなくなってしまう恐れもあります。

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