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» 2013年09月26日 11時00分 公開

転勤をすんなりと受け入れさせられる話し方 (1/2)

ある日突然、海外への転勤を命ぜられたらどうしますか? 家を建てたばかりで、子どものこともある――。転勤するにしても、できればもっと近くにならないものかと思うだろう。このとき「では、海外ではなく国内ならどうか?」と持ちかけられると、すんなり承諾してしまったりする。本当の要求は、無理難題のあとに出すのが効果的なのだ。

[榎本博明,Business Media 誠]

集中連載「思うように人の心を動かす話し方」について

 本連載は、榎本博明氏著、書籍『心理学者が教える 思うように人の心を動かす話し方』(アスコム刊)から一部抜粋、編集しています。

「お1人さま3個までに限らせていただきます」と言われて、つい列を作って並んだり、本当に必要でもないのに商品を3個も抱えてレジに走ったりしていませんか? 実はこれ「今買わないと損!」と思わせて、お客を殺到させたり商品に飛びつかせたりするための、人の心を操る心理テクニックです。

あるいは「話だけでも聞いてください」と言われて、最初はまったく買う気がなかったのに、気付いたらとんでもない買い物をしてしまった……なんていう経験はありませんか? これは“フット・イン・ザ・ドア”と言われる、思うように人の心を動かす心理テクニックの1つです。

はじめからお願いしたら到底受け入れられない法外な要求でも、いつの間にか受け入れさせてしまう魔法のフレーズなのです。

他にも「どうぞ、お座りください」「そうですか、では……」「お隣のAさんもBさんも」など、人の心をぐぐっと動かすキラーフレーズや心理テクニックは世の中にたくさんあふれています。

誰でもすぐに使えて効果絶大な心理テクニックを本書ではたっぷり紹介しています。ぜひあなたも試してみてください!


転勤をすんなりと受け入れさせられる話し方

 「君もそろそろ転勤の時期だが、どうだろうか。香港支社に赴任してもらえないか」
 「えっ、香港ですか?」
 「何か不都合なことでもあるかな」
 「いえ、子どもたちのこともあるし単身赴任になると思うので、ちょっと……」
 「よし、分かった。それじゃ大阪支社に赴任してくれ」

 もし、あなたが東京本社に勤務していて、家を郊外に建てたばかりだとする。子どもたちの学校のこともあり、できれば東京から離れたくない。そこに香港行きの話をもちかけられたら、何とかもっと近くにならないものかと思うだろう。そのあとの大阪赴任の話は、まるで救いの神のように感じられるに違いない。

 だが、はたして素直に喜び、上司の配慮に感謝してよいものかどうか。もしかしたら、もともと辞令は大阪転勤であったかもしれない。でも、いきなりそれを通告すると不満気味の反応が出てくる恐れがあるので、最初に極端に遠い場所への転勤を打診して断らせておいてから大阪への転勤を提案するという形をとった。こんな事情だとすれば、まんまとはめられたことになる。

 同じ行くなら気持ちよく行くに越したことはないから、その意味では喜んで赴任できるように配慮してくれたと言っても良いかもしれない。それを温かい配慮と呼ぶか、巧妙なテクニックと呼ぶか、迷うところであろう。

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