サポーターの心をつかんだDJポリス――あの伝え方を職場で生かすには?ボクの不安が「働く力」に変わるとき(1/3 ページ)

サッカーW杯予選でサポーターの心をわしづかみにしたDJポリス。あのコミュニケーション力を職場に生かせたら、職場の一体感を増すことができるのではないでしょうか。

» 2013年06月26日 11時00分 公開
[竹内義晴,Business Media 誠]

竹内義晴(たけうち ・よしはる)

 1971年生まれ。経営者、教師、コンサルタント、コーチ、カウンセラーなど、リーダー層を支えるビジネスコーチ。人材育成コンサルタント。

 自身がプレッシャーの多い職場で精神的に追い込まれる中、リーダーを任される。人や組織を育てるには、マネジメントの手法だけでは太刀打ちできないことを痛感。優れたリーダーたちが使う卓越したコミュニケーションスキルを学び、実践。チームの変革に成功する。実践の経験から、難しいコミュニケーションスキルを誰もが現場ですぐに使えるようにした独自の手法「トライアングルコミュニケーションモデル」を考案。実践的なコミュニケーション方法を伝えるコミュニケーショントレーナー。

 米国NLP協会認定NLPトレーナー、NPO法人しごとのみらい理事長。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』(こう書房)、『イラッとしたときのあたまとこころの整理術―仕事に負けない自分の作り方』(ベストブック)がある。

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 サッカー日本代表が2014年のブラジルW杯出場を決めたあの夜。渋谷のスクランブル交差点は、興奮冷めやらぬサポーターで溢れかえっていました。その熱狂が爆発してしまわないように、警察はスクランブル交差点を封鎖。問題が起きないようにするためとはいえ、強硬な対応にインターネット上では不満の声が漏れ始めていました。

 そこに登場したのが、あのDJポリス。興奮するサポーターに向けて「サポーターは12番目の選手です。ルールを守りましょう」「日本代表のように素晴らしいチームワークで駅の方向に進んでください」「目の前にいる怖い顔したお巡りさん。何も、皆さんが憎くて怖い顔をしているわけではありません。心の中では日本代表のW杯出場を喜んでいるのです」――実に冗舌に呼びかけたのです。

 交差点の封鎖に初めは批判的だったサポーターも、明るく、ユーモアあふれる言葉に導かれ、いつ爆発してもおかしくなかったその場は次第に一体化。むしろ好意的な雰囲気へと変わっていきました。

 「たった1人の言葉が、今にも爆発しそうなサポーターのこころをつかみ、場に一体感を作ってしまうなんて、コミュニケーションの力ってすごいな」

 あらためて感じた出来事でした。

 同時に、もし職場の中でDJポリスのようなコミュニケーション力を生かせたら、ギスギスした職場が明るくなり、一体感を作れるのではないかと思いました。そこで今回は、DJポリスのコミュニケーションを分析し、職場に一体感を作る方法をお話したいと思います。

DJポリスの印象的な言葉

 まず、DJポリスの印象に残る言葉のいくつかを集めてみました。

  • 「日本代表のようにサポーターのみなさんのチームワークを見せてください」
  • 「横断歩道から、皆さんのチームメイトであるサポーターの皆さんが到着します。歩道に入れるように道を広く開けてください」
  • 「フェアプレーのチーム、日本代表のサポーターにふさわしく、ルールとマナーを守った行動をお願いします」
  • 「目の前の怖い顔したおまわりさんも、日本代表のW杯出場、実は喜んでいるんです。皆さんと同じ気持ちです。おまわりさんも皆さんのチームメイトです。どうか、チームメイトの言うことにもしっかりと耳を傾けてください」
  • 「ここに集まっている皆さんは、日本代表12番目の選手です。皆さんはチームメイトです。どうか道を広くあけてください」
  • 「警察官も皆さんが憎くてこういうことをやっているんじゃないですよ。いいですか? 警察官も日本代表のW杯出場を、実は心の中では喜んでいるんです。皆さんと気持ちは一緒です。ですから、皆さん、どうか一度だけ注目してください。交通ルールとマナーを守りましょう」

 あなたは、この言葉の中に何を見るでしょうか。

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