堀江貴文氏が初めて語った本心、働く人に伝えたいこと「働く」ことを真剣に考える人は今すぐ買うべき

刑期満了を迎えた前夜、堀江貴文氏は都内で「出版記念講演会」を開催した。新刊『ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく』で伝えたかった本心とは?

» 2013年11月10日 09時29分 公開
[上口翔子,Business Media 誠]

 ホリエモンから堀江貴文へ――。11月5日に発売した『ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく』(ダイヤモンド社刊)は、元ライブドア社長でホリエモンこと堀江貴文氏の印象が変わる一冊だ。

 自身の生い立ちから上京、起業、そして世間一般に知られるようになってから逮捕に至るまでの背景が「正直ここまでさらけ出すのは恥ずかしかった」と本人が語るほど、赤裸々に綴られている。本書は堀江氏が初めて本心を自分の言葉で多くの人に伝えようと努力して作ったもので、読後にはそのことが非常によく分かるものとなっている。「働いて結果を出す」ためにいかに「努力」が大切かが分かる。

 堀江氏が刑期満了を迎えた11月10日の前夜(堀江氏は仮釈放で出所していた)、都内で「出版記念講演会」が開催され、報道関係者や一般客を含む約150人が参加した。本記事ではその一部を紹介する。

ゼロ「出版記念講演会」にて

 なお、本書の刊行に当たっては、「堀江貴文ミリオンセラープロジェクト」という企画が立ち上げられており刊行に至るまでの舞台裏が紹介されている。メディアに携わる人間にとっても参考になるだろう。ヒット作の裏には必ず仕掛け人がおり、例えばその1つが編集者だ。本書の編集者として、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』『若者はなぜ3年で辞めるのか?』『ウェブはバカと暇人のもの』など数々のベストセラーを生み出した柿内芳文氏、そして『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』の編集者などで知られ現在は有料コンテンツ配信サービス「cakes」を運営する加藤貞顕氏が参画。また堀江氏は出版に当たりAKB48プロデューザーの秋元康氏にもアドバイスをもらったという

 聞き手は「堀江貴文ミリオンセラープロジェクト」メンバーの1人で、有料コンテンツ配信サービス「cakes」を運営する加藤貞顕氏

今までは結論しか伝えてこなかった

――この本を書こうと思ったキッカケは何でしょう?

堀江氏: これまでは自分の意見を伝えるときに結論だけ急いで言っていました。処方箋を出すような形で。ただ、例えば球団買収にしてもビジネスとして成り立つ、サステナビリティ(持続可能性)のある地域活性化を目的としていたのに、マスメディアを通じて言葉の表層だけが伝わってしまうことが多々ありました。そしてそのときは賛否両論あるのも分かったうえで、それでいいと思っていました。でも今回は、できるだけ多くの人に本心を分かってほしいと思い、プロジェクトを立ち上げて多くの人に読んでもらう努力をしました。

――堀江さんって会って話すと「意外といい人」。なのに、世間はズルをして儲けた人と思っているのではないでしょうか。

堀江氏: 自分の考えを全て伝えるのは無理だと思いますが、変な誤解を受けないようには心がけています。そのために今回は正直恥ずかしい自分の弱い部分も丁寧にさらけ出して、自分から読者に合わせて書きました。

――発売から数日経ちましたが、周囲からどのような反応がありましたか?

堀江氏: 大学時代の同級生からも書評というか感想をもらってうれしかったです。あと、みんな何かしらコンプレックスを抱えていて、それが自分だけだと思っている人が多いと思うんです。どんなイケメン俳優でもその人なりのコンプレックスがあるのに、他の人はその人が恵まれているから悩みなんかないと妬む傾向にある。そんなことはないのに。社会のひずみはそうした所から生まれているのかなと思いました。

――プロジェクトを通じて堀江さんを近くで見た印象は、「こんなに働く人は見たことがない」ということです。本の中にもあった「働く」「努力」の原動力はどこから生まれるのですか?

堀江氏: 努力はするのが当たり前。言うより先に自然とやるものだと思っています。仕事は結果重視なので、逆に出せなかったらはずかしいし、努力して失敗したらすごく悔しいです。

――これまでの堀江さんの書籍とは違う、『ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく』で伝えたいことは何でしょう?

堀江氏: 世の中には魔法の処方箋などはなく、何事も努力なしには始まりません。コツコツやらないといけない。地味な作業ですが情報収集もやろうと思えばすぐにできるのにやろうとしない人が多いです。仕事はハマッて作業に没頭して楽しくやります。つまらないこと、嫌なことの中にも必ず楽しいことがあるので、それを自分なりに見い出してやればいいと思います。

 「楽しい」と「楽」は別問題で、もちろん苦しいときもあります。ただ、できるだけ自分がやりたい仕事を多く選び、そのための努力を極限までやれば効率化できるし、よい情報を得られたら、それが成功や次のヒントにつながります。隙間時間も使って地道に情報収集をすることで、面白いアイデアやチャンスに巡り会えます。ソーシャルメディアが普及した時代は情報収集力がある人がきっと強者になっていくでしょう。


 『ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく』で出てくるキーワードの1つに「ノリの良さ」がある。やりたい、いいと思ったものは今すぐ試したり、会いに行ったり、実行したほうが得だ、ということだ。堀江氏も常に今すぐを心掛けているという。

 また書籍や堀江氏のコメントを通じて、「やっぱホリエモンすごい」で終わってはいけない。本書から得たヒントを基に、自分なりに工夫をして堀江氏を超える新しいことを考え実行していく人になることを、堀江氏も期待しているはずだ。

会場では限定200冊のサイン本が販売された

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