個人事業主が経費を増やすと、納税額がどれだけ減るのかを実際に計算してみよう。またガッツリと節税効果が表れる各種控除を改めて整理してみよう。
前回は個人事業主が節税対策を考えるうえで避けては通れない納税額の算出方法について解説した。引き続き、今回は経費や控除を見直し、節税対策をするとどれくらい納税額が減るかを検証してみたい。
所得税の計算式をもう1度確認しよう。たった3行の式なので納税額を減らす(節税)方法は単純だ。経費を増やせば所得が減る。さらに各種所得控除を増やせば課税所得が減る。この2つだ。
試しに前回のAさん(東京23区在住で30代後半独身のフリーランス。定年前の親と同居している。毎年の売り上げは800万円ほどで、経費は100万円程度)を例に経費を10万円増やしてみよう。売り上げの800万円はそのまま経費が10万円増えて110万円になると、
になる。
基礎控除の38万円、社会保険料控除の75万円もそのまま控除する。
課税所得が10万円減って577万円となった。所得税と復興特別税を計算してみよう。
住民税も変わってくる。同じく経費が10万円増えると、
となる。
以上、経費が10万円増えたことで所得税で2万円、住民税で1万円、復興特別税で420円の節税となった。気分は10万円の買い物をしたら約3万円のキャッシュバックだ。あるいは3割引で買えたことになる。これはかなりうれしい。もし100万円の買い物をしたら30万4200円……めちゃくちゃうれしい。
Aさんはもうかっていて所得税の税率が20%だったので、約30%の節税となったが、税率10%(課税所得が195万円超 330万円以下)だと所得税で10%、住民税で10%の合計20%の節税となる。言い方を変えると「もうかっている=税率が高い=節税効果も高い」となる。
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