サラリーマン節税のツボ、各種所得控除について知ろう消費税8%時代の確定申告(5/6 ページ)

» 2014年01月31日 08時00分 公開
[奥川浩彦, 監修:木村税務会計事務所 税理士 木村聡子,Business Media 誠]

社会保険料控除

 サラリーマンは厚生年金、健康保険、雇用保険を毎月の給与から天引きされている。これらの合計額が社会保険料として全額控除の対象となる。通常は収入によって金額は勝手に決められるし、勝手に天引きされるので、社会保険料控除は手出しできないと考えられる。

 大学生の子がいると20歳の誕生日を過ぎたころに、国民年金の案内が届くはずだ。筆者は収入が多くないので、学生免除(学生納付特例制度)の手続きをしているが、収入の多い人は子の代わりに国民年金を納付すれば社会保険料を上積みできるので節税することが可能だ。

 国民年金は年間約18万円。課税所得が多い人は検討する価値はある。とはいえ20歳の子が年金を受給するのは50年ほど先なので、免除と納付にどれだけ給付額の差があるかは皆目見当が付かない話だし、感謝されるまで生きている可能性は低い。

 節税とは関係ないが、未納と免除(学生納付特例制度)には大きな差がある。特に不慮の事故で障害を負った場合、免除の手続きをしていれば将来にわたり数千万円の障害基礎年金を受けられる可能性がある。親元を離れている学生がいる親は、子が免除の手続きをしているか確認しておこう。

生命保険料控除

 サラリーマンが最も積極的に節税できるのが生命保険料控除だと思う。控除額は大きくないが、生命保険は加入する期間が長いのでわずかな節税額でも累積すれば大きな節税になる。生命保険料の控除は2012年1月1日以降の契約は新制度となり、控除の方法が変更されている。これを積極的に活用すれば長期的な節税が可能だ。まずは旧制度と新制度の生命保険の控除の上限額を確認しよう。

生命保険料控除

 旧制度の生命保険料控除は一般生命保険料控除で所得税の控除額が上限5万円、住民税の上限が3万5000円、個人年金保険料控除も控除額は同様だ。両方が上限の場合は所得税の控除額が合計10万円、住民税の控除額が7万円となっていた。

 新制度は、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除の3つに分かれ、それぞれの所得税の控除額が上限4万円、住民税の上限が2万8000円。3つそれぞれを足した所得税の控除額の上限は合計12万円に増える。住民税は合計7万円のままだ。

 新制度、旧制度の生命保険を組合せた場合は少々複雑となる。一般生命保険料控除と個人年金保険料控除は旧制度と新制度の控除額を合算できる。その場合も旧制度の控除上限額の5万円は有効なので、旧制度だけで5万円の控除があれば5万円が有効となる。控除額4万円以下の旧制度と新制度を合算した場合は新制度の限度額4万円が適用される。

 例えば一般の生命保険で10万円、医療保険(旧制度では一般生命保険に分類される)で8万円に入っている場合、どちらも旧制度なら5万円の控除となる。医療保険を見直しして新規契約、あるいは特約の変更などをすると新制度の介護医療保険料の控除が受けられる。従来と同額の8万円の医療保険に入ったとすると、旧制度の一般生命保険で5万円の控除、新設された介護医療保険で4万円が控除され合計9万円の控除を受けることができる。

 もし医療保険の見直しで所得税で4万円、住民税で2万8000円控除が増えたら、仮に所得税10%、住民税10%の状態が30年続くと約20万円の節税となる(数十年先までの保険料控除の仕組みも税率も自分の収入も予想はできないが……)。

 若い人は保険を見直すことによる掛金の増額も少ないし、保険に加入する期間も長いので旧制度の医療保険を含め、生命保険を見直すと節税できるかもしれない。旧制度、新制度の保険の控除額は下の図を参考にしていただきたい。

生命保険料控除
インフレ時代の確定申告

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