本連載は、武山知裕著、書籍『個人情報そのやり方では守れません』(青春出版社)から一部抜粋、編集しています。
「同じパスワードを使い回している」「英文の迷惑メールがやたら届くようになった」「マンション投資などの勧誘電話が頻繁にかかってくる」「このところ、パソコンの動作が遅くなった気がする」――。
1つでも思い当たる人は要注意! あなたや家族の重要な個人情報が漏れているかも?! 意外なところから個人情報が漏れる時代、個人でできる最新の安全対策法を教えます!
ここまで、FacebookなどのSNSを利用していて個人情報が抜き取られてしまうリスクについてお話ししてきました。
ここでもう1つ、最近、話題になっているネット上の「炎上騒ぎ」から個人情報がどんどん漏れ出してしまうことについても触れておきましょう。
炎上騒ぎとは、ブログやSNSでの投稿や発言がきっかけとなって、それに対する非難や中傷が書き込まれて、話題が果てしなくインターネット上を「拡散」していく状態です。
最近では、仲間とのコミュニケーションにTwitterを活用する人も増えています。
このサービスは匿名で利用できるために、「どんな投稿をしてもバレないだろう」と安心して、ハメを外した投稿をしてしまい、炎上してしまう問題があとを絶ちません。
例えば、ホテルに勤めている従業員が、「今日、サッカー日本代表の●●選手が来た。オンナ連れだったよ!」と個人情報を暴露してしまったり、飲食店のアルバイトが「バイトの休憩中の写真。暑いので食材用の冷蔵庫で涼んでみた」など、悪ふざけをした写真を安易に投稿してしまうようなケースです。
こうした投稿を見て笑ってくれる人もいるかもしれませんが、多くの人は、ホテルにプライバシーを守らない従業員がいることや、飲食店で不衛生な行為を平気で行うアルバイトが働いていることに不快感を覚えます。
そうなれば、こうした問題行為を「内輪の馬鹿話」として放っておいてくれるほど甘くはありません。「こんな問題行為が許されるの?」と次々に再投稿され、インターネット上に拡散し、批判の集中砲火が浴びせられます。これが炎上です。
相次ぐ批判に、これはさすがにマズいと思って投稿を消しても、もはや手遅れです。すでに投稿された写真は、インターネット上に証拠として保存されてしまいます。
しかも、「匿名だから自分だとはバレないだろう」と考えるのは間違いです。
そのホテルや店舗、個人の特定がインターネット上で始まり、写真に写ったホテルの背景やバイトの制服などから、どのホテルなのか、どこの店舗か、そしてホテルの誰なのか、どのバイトなのかと犯人捜しがどんどん進むのです。
個人を特定できるような情報が少しでも漏れてしまえば、次は、そこからFacebookやmixiのアカウントが特定され、本名や通学している学校、プロフィールの詳細まで、徹底的に調べ上げられてしまいます。
こうなってしまっては、もはや炎上を止めるのは不可能です。
そして勤務先や所属する学校、バイト先などに、全国から抗議の電話がひっきりなしに寄せられることにもなります。
しかも、問題が大きくなれば、文字通り「タダ」ではすみません。最悪の場合、飲食店が閉店となり数千万円の損害賠償が請求されたり、学校を退学になるなど、人生さえも大きく狂わせてしまう可能性もあります。
なかにはこうして他人を吊るし上げることを楽しみにしている人たちも、インターネットの世界にはいるのです。
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