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» 2010年04月26日 11時41分 公開

今さらだけど名刺は個人情報か?最強フレームワーカーへの道

有名企業400万社の担当者情報がダウンロードしまくり――。米国ではそういうサービスも始まっている。確かに営業には便利だが、どうにも納得できない筆者であった。

[永田豊志,Business Media 誠]

 前回の名刺整理情報にからめて、ちょっとしたニュースを耳にしたので、ぜひ共有しておきたい。

 名刺を効果的に営業に使いたいというのは、どの企業でも共通の課題だ。前回の記事はあくまで個人の名刺管理が中心であったが、企業の営業や販売促進に名刺情報を活用するとなると、SFA(セールス部隊の自動化ソリューション)である。

 その一番手は間違いなく米国Salesforce.comだと思うが、その同社が先ごろ買収したというプレスリリースに驚いた。その会社はJigsawという会社である。これが本当に驚きのビジネスモデルなのだ。

Jigsawのトップページ

 Jigsawのキャッチコピーは「2100万人のBtoBの名刺情報を誰でもダウンロードできます」。いわゆるリスト屋さんなのだが、誰でも登録すればデータベースの中から、条件にマッチするコンタクト情報にダイレクトにアクセスできるのだ。ためしにやってみた。

 例えば、検索画面で会社名に「Cisco Systems」と入れてみる。すると驚いたことに、個人名のリスト一覧を表示するではないか! そして個人名をクリックすると名刺情報が。メール情報や電話番号を入手するためには「5ポイント」が必要だという。なんだ、5ポイントって?

 実は、Jigsawではクラウドで名刺情報を集めている。登録すれば分かるが、誰でも名刺情報をアップでき、それが公開される。名刺情報を1件公開するたびに5ポイント獲得でき、逆に他人がアップロードした名刺情報をダウンロードすると5ポイントが引かれるというわけだ。

有名企業400万社の担当者情報がダウンロードしまくりというのは、確かに営業には便利だし、これを活用してSalesforce.comが何をやろうとしているのかは察しがつくが、どうにも道徳的に納得できない

 日本でこれをやることは難しいだろうと思う。利用すれば、道徳的に非難の目にさらされるだろうし、法務的にも問題がありそうだ。個人情報保護法の筆者なりの理解では、名刺情報は、それを受け取った人が連絡をとる目的以外では使えないし、第三者がそれを利用するなんてあり得ない。米国の個人情報保護はどうなっているのか知らないが、理解に苦しむビジネスモデルだ。

著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)

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 知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

 リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

 近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。

連絡先: nagata@showcase-tv.com

Webサイト: www.showcase-tv.com

Twitterアカウント:@nagatameister


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